Tik Tok 最強のSNSは中国から生まれる
You Tubeの次はTik Tokが流行るのかな…?とは何となく気になっていたので読むことにしたのが「Tik Tok 最強のSNSは中国から生まれる」。
帯の「あと数年で確実に始まる『動画革命』と『インフルエンサー経済』 中国の今を知れば、日本の未来を先取りできる」というあおり文句も上手いなぁと思う。
未来のことはわからないけれど、個人的に感じたことをまとめておきたいと思う。
あおり文句からすると、日本でも今後絶対にTik Tokが流行る!ということなのか、と思っていたらそういうわけではないのかな、というのが読み終わっての個人的な感想だった。
著者の見解としては、Tik TokはFacebookとは競合しないけれど、You TubeやInstagram、Twitterの良いところは取り込んで、どんどん広がっていくのではないだろうか、ということだと思う。
実際アメリカやインドでは2018年に最もダウンロードされたアプリに輝いたそうだ。
しかし、個人的に本当にそうなるのかな??と疑問に思ったことや考えたこともあったので、備忘録として残しておきたい。
1つめはそのダウンロードされたランキングが高いから、というのは本当に流行に繋がる根拠になるのかな??と思ったこと。
本文でもこちらの海外の記事の引用があって、国別のTik TokとInstagramのダウンロードランキングの比較が記載されている。
日本をみると、2018年の11月だと確かにTik Tokが1.61位に対して、Instagramが3.57位となっているが、2019年1月の時点ではTik Tokが3.77位に対してInstagramは1.94位と巻き返している。
順位はさておき、そもそもダウンロードランキングって、今自分のスマホにないアプリをダウンロードするのだから、ダウンロード1回したら、基本的に2回目は買い換えとかでもしないとないのだし、新しいアプリが上位にくるものでは??というのが、個人的な最初の疑問だった。
これを機会に、そもそもAppStoreとかGooglePlayのダウンロードランキングってどうなってるんだろう??と思って調べたら、こんな記事があがっていた。
この記事の信憑性は私には調べようがないけれど、簡単にいうとAppStoreとGooglePlayではそれぞれに、ランキングの上位になるための評価の仕組みが違うそうだ。
となると、上記の記事のランキングというのはどちらのランキングなのかによっても結構変わるんだな、と思った。
最近はGoogleの通常の検索も、結構Googleの考えが反映されている、という噂も聞くし、一概にダウンロードランキングが高いということだけで判断や評価できるかというと難しくなるのかも…と感じた。
2つめは、そもそも本当にそんなに動画やショートムービーが席巻する、みたいな形になるのかな?ということ。
実はこの本を読んで、一番意外だったことは、必ずしも動画一辺倒に日本もなるか、といったらそれはわからない、といったことも書かれていたことだった。
あおり文句がいかにも「日本でも今後Tik Tokが流行る!!」みたいなかんじで強めに感じたので、そうなのかと思いきや、著者も本の中で「日本と同様に教育レベルが高く、比較的ショートムービーが流行りにくいイギリス・フランス・ドイツ・オーストラリア・韓国」とあげており、あ、日本ってショートムービー流行りにくいんだ、と知ったのは新鮮だった。
考えてみたら、動画の良いところは、静止画やテキストよりも沢山の情報を伝えられることと、モノによっては言語面のハードルを越えてくるところ。
つまり識字率などが低い国でも、面白い!と見てわかるものなら広がりやすい。
中国は地域によって方言の違いも大きいし、内陸部では年齢にもよるが、識字率が高くない地域もある。
そういう意味ではテキストより動画が流行りやすい土壌があるんだろうな、と思った。
最初はテキストが徐々に全部動画に変わっていくのかな、と思ったけれど、よくよく考えたら、オフラインの世界が新聞と書籍とTVなどがあるように、ネット上でも結局はテキストと動画と写真と…といったように棲み分けしていくだけなのでは…と感じた。
個人的に動画がちょっと苦手(そもそもTVも殆ど見ないし、You Tubeで解説されるよりはテキストで必要なところを読みたい派)なので、時代はYou Tubeだ!動画だ!という勢いを感じて、全部それにうつっていくのか…と若干恐れていたけれど笑、そうとも限らないのかも??というのが読み終わっての感想だった。
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本書ではTik Tokを通じて、中国の今や考え方も知ることも出来た点も良かった。
個人的には「丸パクリすることがリスペクトの証」というのが中国的発想、その背景には「これほど完成された商品には隅々まで設計思想が染み渡っているはずだ。我々の稚拙な発想で、余計なアレンジを入れることこそが失礼だ」との考えがある、というのはなるほどー、土地が変われば違うモノだ、と感心した。
完成度の高い模倣をすることは、尊敬の念を伝えられる、というのは日本ではない発想。日本では少しでもオリジナル性を加え、改良しようとする方が褒められる態度だ。
そんなことも知れたりと色々な面の中国を知ることができた興味深い一冊だった。
【Tik Tok 最強のSNSは中国から生まれる / 黄 未来 2019年出版】
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