まいたけ

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【禍話リライト】台所の非常口

 鈴木さんが幼少期の頃、よく遊んでいた友達がいた。その友達の家は普通の二階建ての家で、そこにお父さん、お母さん、お姉ちゃんと一緒に住んでいる、傍目には至って平均的な家族だったそうだ。  そんな普通の家には一つだけ、奇妙な事があった。台所のガラス戸に「非常口」と書かてれいた事があったのだそうだ。高さは子供の背丈ぐらいの位置で、「非常口」という字を知ったばかりの子供が、マジックペンでいたずら書きをしたような字だったらしい。  この家にはこんな悪戯しそうな子居ないのにな、そう思

    • 【禍話リライト】自殺者と友達と私

       この話、お化けの話だったのか、それとも人間が怖いヒトコワだったのか。一体何があったのか、今でも良く分らないんです。 ───────────────  私が学生だった頃に住んでいたマンションでの話です。  そのマンションは友達の叔母さんが管理人をしていまして、その伝手で私もその友達も、結構な割引価格で借りることが出来たんです。私は5階、友達は2階を借りていました。そしてそのまま、卒業して就職してからもずっと、同じマンションに住み続けていました。  就職して何年か経った

      • 【禍話リライト】惨事の翌日

         何事も信じ込んでしまうと良くない、そんな話である。  東北地方の、とある小学校での事だそうだ。  時代は1970年代ごろの、こっくりさんブームの丁度真っただ中だったそうで、  この小学校も全国の例にもれず、有名なこっくりさんの本を切っ掛けに、小学校全体でこっくりさんが一大ブームになっていた。  その中でも特にドハマりしている一団が居た。  この子たちはあまりにもオカルト方面にハマり過ぎていて、小学生ながら妙に難解な言葉を使い、例えばこっくりさんの結果の事を、「お告げ」ど

        • 【禍話リライト】カルボナーラマン

           20代後半の坂本さんという女性の方から聞いた、カルボナーラにまつわる体験談。  坂本さんが働いている会社は、飲み会がよく開かれる職場だった。それも割と楽しい雰囲気の飲み会で、居酒屋などではなく社員の中の誰かの家でよく開かれていたそうだ。  坂本さん自身も飲み会に何度も参加していたのだが、毎回先輩の家に押し掛けているのが段々と申し訳なくなってきたらしい。 「いつも先輩の家にお邪魔するのも悪いんで、たまには私の家で飲みませんか?私一人暮らしだし、防音もちゃんとしてるんで」

        【禍話リライト】台所の非常口

          【禍話リライト】引き出しの中に

           この話、一種の都市伝説だと言う事にしてください。  私の勤めている会社は業態としては販売業に当たるんですが、定年迎えた後の一定期間も少し給料が安いですが続けて勤務できるという、よくある再度雇用制度をやっています。  そういう感じで再雇用されている方で、なんというか、今までやってた仕事はまともにしようとしないし、新しい事も覚えようとはしてくれない、ただずるずると会社に残って給料だけをもらおうとしてるような、そういう厄介なお婆さんが居まして。  周囲からはそれとなく注意を

          【禍話リライト】引き出しの中に

          【禍話リライト】残っていた記録

           酒の席で、「元カノへの未練」というテーマで盛り上がっていた時の話。  ある一人が、 「俺が付き合ってた子は、かわいいし、気も利くし、話も面白いし、頭もいいし、いい子だったんだけど………変な子だったんだよね…」  そう切り出した。 「今のところ全く悪い所ないけど……  ああ、分かった、料理が下手で砂糖と塩を間違えるとかだろ?」 「いや、料理も上手くて、素朴なおふくろの味とでも言うか、外食するよりその子の料理食べたくなる感じ」 「何にも悪いことないじゃん!」 「いやー…

          【禍話リライト】残っていた記録

          【禍話リライト】家のふり

           Kさんから聞いた、とある廃墟の話。 家のふり  その廃墟は、人の入らない獣道を草をかき分けて進んだ先にポンと建っているのだという。  それにしては建物の周囲に車道はおろか歩道すらなく、「なんだろうこの家は、家のふりをした何かなのではないか?」などと、周囲のオカルトマニアから冗談交じりで言われていた。  Kさんはその廃墟の話に興味を惹かれ、早速乗り込んでみたそうだ。  実際に赴いてみると、聞いていた通り二階建ての古びた家で、確かにこのような普通の家が周囲に何もない場所に

          【禍話リライト】家のふり

          【禍話リライト】オレじゃないですか?

           関東地方のどこかにある廃病院で起きた話。  その廃病院は、まだその地域に人がいて栄えていた時期に建ってられたそうだ。よくある話だが、その地域から段々と人が少なくなっていくのに伴って潰れてしまい、病院の痕跡があちこちに残ったままの廃墟と化していた。  その廃墟の建っている場所が立地的にちょうどいいのか、あまりにも廃病院に肝試しに来る若者が多く、大量の落書きが残され、あるいは壁や窓などが割られまくっていたという。  管理している不動産会社も、そういった迷惑な肝試し対策のために

          【禍話リライト】オレじゃないですか?

          【禍話リライト】こわいコンビニ

           郊外のコンビニで店員やってた人から聞いた怖い話です。  そのコンビニって言うのが、近くに心霊スポットになってるトンネルがあるんですって。それも、なんか住宅街の中にあって今はあんまり使われてないんだとか。そういうトンネルが近くにあるからか、夏場になると行った行ってない、場所が分からなかった、さっき行ったけど怖かった、そういう客がコンビニによく来るんだそうです。  ただね、その辺りって結構入り組んでて、案内なしに辿り着こうとしても結構難しいらしいんですよ。大抵はもうちょっと

          【禍話リライト】こわいコンビニ

          【禍話リライト】引き寄せる村

          前の話 ↓  とある廃墟にまつわる話。  学生時代の仲間内で、一人だけずるずると就職が決まらない奴が居たそうだ。他の面子は夏ぐらいには就職が決まり、一番へらへらしている奴などは春先に真っ先に決まっていたりする中だった事もあり、傍目からも焦りが見て取れた。どうしたものかと心配していると、卒業間際にようやく就職が決まって、これで全員無事に社会人になれると卒業したという。  その年の夏の事。  全員就職先が地元だったという事もあり、久しぶりに皆でまた集まってどこかに行こう

          【禍話リライト】引き寄せる村

          【禍話リライト】とりかえしがつかない家

           よくある都市伝説の一つに、ある土地に行くと謎の村があり侵入した体験者が村人から追いかけられる、というパターンのものがある。大抵の場合、そもそもそのような土地自体が元から存在しておらず、ゼロから作り上げた創作怪談であることが多い。  あるいは逆に、普通に生活している人が居る集落で、肝試しに来たヤンキーを注意しようとしたのがそれに尾鰭が付いた、というのが実際のところの話なのだと思われる、のだが。 「そういう事だったらどれだけ良かった事か…と今でも思います」 ───────

          【禍話リライト】とりかえしがつかない家

          【禍話リライト】下がっている鏡

           東京の話だそうだ。  ある公園の男子トイレの個室に、鏡がぶら下がっている事があるという。  時刻は夜、それも比較的早い夜8時かそのくらいの時間帯。  適当な紐を鏡に付けて、壁に打ち付けた釘で簡易にぶら下げられている。  手洗い場には鏡がちゃんと据え付けてあるため、その代わりに取り付けたという風でもない。  下がっている鏡の種類も多様で、大きいものも手鏡サイズのものもあるのだそうだ。  この鏡は、ぶら下げられてから2日ぐらい経ったぐらいに、いつの間にか撤去されるそうだ。

          【禍話リライト】下がっている鏡

          【禍話リライト】おかえりください

           こっくりさんの怖い話を集めているというKくんが聞き集めてきた、「こっくりさんに囚われてる人」の話。  最初にそういう前振りを聞いた時は、てっきり学生の時から今に至るまで「降霊術としてのこっくりさん」を遊んでいるという事かと思って聞くと、そうではないという。 「違うんですよ、『お化けの方のこっくりさん』に囚われてるんです」  こっくりさんの名前はもう聞かなくなって久しいが、似たような儀式/遊びは名前を変えて細々とオカルト本や占い本に受け継がれていると聞く。  ならば、そ

          【禍話リライト】おかえりください

          【禍話リライト】水曜の回覧板

           今現在40代のAさんが大学生だった時に、変わったアルバイトをしたことがあるという。  Aさんは田舎の方の出で、大学進学を機に初めて都会に出て一人暮らしを始めることになった。そういった新入生の補助のため、大学から住まい探しの手助けの案内もあったそうなのだが、Aさんは少しばかりの茶目っ気をだして自分で家を探すことにしたという。  すると、ほどほどに古びた学生向けのアパートを運よく見付けることができたという。大家さんも結構さっぱりとした性格のおばさんで、Aさんはすぐに打ち解け

          【禍話リライト】水曜の回覧板

          【禍話リライト】だんらんの村

           禍話の常連提供者に、廃墟に泊まりに行くのが趣味の甘味さんという女性がいる。これはその甘味さんが遭遇した、飴玉の話。 ───────────────  ある廃村を巡っていた時に出くわした体験談だそうだ。  甘味さんはその廃村を一人で見て回っていたのだが、途中で自分とは別個に廃墟巡りをしていたというカップルと遭遇した。甘味さんも軽く会釈をしたものの、デートな雰囲気だった二人とは一応は気を使って距離を取り、一人で少し離れた場所を見て回ることにした。  そうやって色々見てい

          【禍話リライト】だんらんの村

          【禍話リライト】つぎはぎの軽

           発端は、「シン・禍話 第二夜」(2021/03/20放送)の1:12:58~ごろの、「隙間女と窓女」についての雑談である。  禍話のメインパーソナリティ・Fear飯の二人の大学の先輩に、ジィルさんという人が居る。  事故物件に住んでおり、その家に出る女性の幽霊から好意のようなものを寄せられる、というかなり変わった体験をされている方で、禍話でも度々話題に上がる事がある。  そんなジィルさんが、「隙間女と窓女」の終わり間際に、「こんなところに居られるか!」という趣旨のコメン

          【禍話リライト】つぎはぎの軽