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ラットプルダウン【トレーニングフォーム解説】

この記事はこんな人におすすめ

・ラットプルダウンがわからない

・やり方がみんな違って何が正しいのかわからない

・自分のフォームが本当に正しいのか疑問

・背中に刺激が入らない

・腕ばかり疲れてしまう

・肩、腰が痛くなった

そんなラットプルダウンにおける悩みをたった1つ、この記事だけで解決できます。
なぜ刺激が入らないのか。
なぜ痛くなってしまうのか。
それらの理由を全て事細かに解説させていただきます。


【はじめに】

ジムに行くと、ほぼいつでも誰かがラットプルダウンを行っている光景を目にすることでしょう。”背中側に効くのに半年はかかる”こんな言葉を先達のトレーニーから言われた人いるのではないでしょうか?
ここにおいてその通説に対し、”そんなことはない”と断言します。刺激が入らないのはフォームの問題であり、トレーニング1日目からでも”背中に効かせられます”。

トレーニングが慣れてきて背中にも刺激が入るようになった方々。その刺激は本当に広背筋の刺激なのでしょうか?背中の中でも上側と下側で大きく発達が分かれていたりしませんか?それはもしかしたらトレーニングフォームが問題かもしれません。

この記事ではラットプルダウンの、
個人的な考察として様々な観点から解説させていただきます。
読み終わった時には、ラットプルダウンの方法、
効果的な筋肉の使い方、利点について理解していただけるでしょう

※ 注意 ※ご紹介するトレーニング方法は汎用性の高いやり方をご紹介しております。そのため、個人における骨格差などについては
言及しておりませんので個人差についてのリスクを加味した上での実践を推奨しておりますことご理解くださいませ。

【前提条件の共有】

対象筋

ラットプルダウンにおいての対象筋は広背筋になります。ラットプルダウンのラット(Lat)は広背筋の英語表記"Latissimus dorsi muscle"の頭を取った言葉になりますので、広背筋以外になることはないです。他の部位を対象筋とした場合は、名前が変わると考えています。例えばリア狙いの場合は、リアローイングなどになるかなと思います。とはいえ、ハイプーリーマシンの名前がラットプルダウンとなっている場合が多いのでそのマシンでの動作を”ラットプルダウン”と言われる場合もあるので個人的な考えとしてはと言わせていただきます。

広背筋について

広背筋は上半身の中でもかなり面積は広く、唯一、上腕骨から骨盤までつながる筋肉になります。起始部は第7~第12胸椎棘突起の前方、全腰椎間板棘突起および仙骨の胸腰筋膜上、胸腰筋膜を通して腰椎棘突起、仙骨棘突起(T6~S5レベル)、棘上靱帯、後腸骨稜、肋骨下部3〜4本、肩甲骨下角から始まり停止部は、上腕骨の結節間溝の底(小結節稜)に停止します。(*1.*2)

個人的に広背筋は上部・中部・下部に分けられると考えています。
広背筋の筋線維は様々な方向に向いており胸郭上では上部の筋線維はほぼ水平に付着し、中部は下位胸椎から腰椎に付着し、下部の筋線維はより垂直に走行しています。この上中下部の括りは、広背筋の最大伸張位が大きく3方向に分かれるため、分け方が3つであると考えています。
筋作用としまして、肩関節内転、内旋、伸展(*1)が主な作用ですが、
肩甲骨下制の補助(*1)、上肢固定時の骨盤の挙上(懸垂などの手が固定され身体が動く動き)(*3)、体幹側屈(*4)などの作用も有します。

広背筋の発達差について

ラットプルダウンをやったら広背筋が育った。ベントオーバーロウをやったら広背筋が育った。懸垂だけでも背中は十分。これらの意見はしばしば目にします。大会選手を見比べると広背筋。特に下部側の発達はかなりの個人差が出ます。これには種目による違いというよりも骨格差における差が大きな要因であると考えています。それは、脊柱の長さと上腕骨の長さです。

上腕骨の長さだけ変えた図にて説明させていただきます。腕が短い人は、
図1のような形になります。脊柱に対して上腕骨が上部よりの方で収縮を迎える形になり、下部側への収縮が弱くなります。

図1

次は上腕骨が長い人の場合です。先程の図1と比較して、図2では脊柱に対して上腕骨が下側にきます。これが上腕骨の長さにおける広背筋の発達の差に繋がると考えています。

図2

図1と図2の収縮時を並べてみます。

図3

次は後ろから見た図3です。上腕骨の骨盤への近づきが変わります。図4の広背筋の画像と比較して見てみてください。なんとなく動き方が変わりそうな感じがありますよね。

図3

ただ、実際問題としてこれほど単純な理由ではないと思います。他に脊柱の長さや胸郭の形状など他の部分も影響してくるのであくまで分かりやすい一例として、骨の長さの比が人それぞれ違って育ち方は変わってくるといった認識だけでも十分です。

ラットプルダウンと懸垂の違い

ラットプルダウンと懸垂はどちらが優れているか論争はしばしば目にする機会があります。ただ、この二つは大きな違いとして開放運動連鎖(OKC)か閉鎖運動連鎖(CKC)の差があります。懸垂などの末端側が固定される動きをCKC、ラットプルダウンなどの末端が動く動きがOKCになります。
この2種目の違いとしてラットプルダウンでは股関節が屈曲し、懸垂では股関節が正中位、伸展位であることが違いなども言われたりしますがラットプルダウンでも膝立ちの方法はあったりするので、股関節の肢位が2種目の違いにはなり得ないかと思っています。あくまでOKC、CKCの違いになると考えています。なのでどちらが優れているかではなく違う動きをする以上優劣を付けるべきではないと考えています。

他で言うならば”臀筋に収縮をかけると胸腰筋膜の関係で広背筋の筋力が上がる”というのも個人的には筋トレ業界で言われる”小指側で握ると神経支配で広背筋に効く”と同じ類かなと考えています。つまり、根拠がない説、人間の構造的におかしな話です。とは言え広背筋への負荷量は別として懸垂で足を組んだり臀筋に収縮をかけると”上がる回数”が増えるのは確かです。小指側で握ると広背筋に刺激が入りやすいのも事実です。結果論として正解だとしても理論としは間違っているだけなので、その動き自体を否定するつもりはございません。

【ラットプルダウンの流れ】

まずは、大まかなラットプルダウンの流れを解説させていただきます。
大まかな流れでの解説、語彙の簡略化を行うと、語弊が生じる可能性があります。なので、詳細については後述のトレーニングフォーム解説で行わせていただきます。

1.手幅

基本のフォームでは胸を張った状態で、前腕がバーとある程度垂直になるようにしてください。

スタートポジション
フィニッシュポジション

2.握り方

小指側からバーを握り、人差し指とバーにスペースが出来るような握りにします。また、手首を僅かに手のひら側に曲げて引っ掛ける様に意識してください。”握らずに引っ掛ける”というのが重要になります。

小指側を起点に引っ掛け、指を添えていきます。
人差し指とバーに隙間があるぐらいが望ましいです。
ただ、指の長さ、バーの太さなどでも変わるため隙間を作るぐらいの意識があるといいです。
手首が手のひら側に僅かに曲がった状態を意識してください。

3.マシンの膝パッド

足裏全体で踏ん張れるように、もも上側をしっかりとパッドで固定されることが重要です。この時、マシンによっては高さが合わずパッドと太ももの間にスペースが出来てしまう場合は、プレート等足の裏にかませて高さだしが出来るとベストです。※ジムのルールに準じてください。

足の裏側全体がしっかり地面につくように意識してください。
太もも上側にパットの圧を感じるぐらいに設定してください。
この際に隙間があったりすると動作のブレにつながる可能性もあります。
マシンの高さが合わずにパッドと太ももに隙間が出来る場合はプレート等を挟むことで
足裏全体での踏ん張りが出来る様に調整してください。

4.胸を張る

バー握り、座った後に胸を張ります。太ももを少し広げる意識(①)を持ちながら、親指を外側に回す動き(②)をし、首を平行に後ろ側に引きます(③)。この動作後に、肩甲骨が下がった感じが出ていると理想的です。

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