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まいぱんだ なんちゃって小説家『コーヒー☆クエスト』最終話

謎のコーヒー豆・豆太郎のコーヒークエストに挑戦中の「ひかる」と「コウちゃん」ウォー〇ーをさがせ!気分で欠点豆探しに挑戦した前回のお話はコチラ ↓

「やった!ついに豆ポイント7つ目ゲーット!」
目の前には虹色にならんだ豆ポイントたち。

私とコウちゃんは最後のミッションも無事クリア。
「豆太郎!!7個揃ったご褒美は??」
コウちゃんが待ちきれない様子で豆太郎に聞く。
「うむ、素敵な褒美、それは…」
「それは!!!」
「それはお前たちの心の中にある」
豆太郎がニヤっと笑みを浮かべた。
『えっ??』
思わず私たちは声を揃えた。

ピピピピピピッ ピヨーッ ピヨ―ッ
ん?目覚まし?ちょぴの声?
私はハッと目を開いた。
夢?
手を伸ばして目覚ましアラームを止める。
「ピヨー、ピヨー!!」
リビングからインコのちょぴが呼び鳴きする声がする。
私は寝ころんだままベッド脇のカレンダーに書き込まれた今日の予定を確認して、それからゆっくり起き上がった。

「おはよー。コウちゃん早起きだねー」
リビングに行くとコウちゃんはすでに身支度を済ませてインコのちょぴに朝ごはんをあげているところだった。
「そりゃまぁ、今日は大事な日ですから!」
コウちゃんが嬉しそうに言う。
「うむ、デビューだからな」
豆太郎も深く頷いている。
そう。
実は今日はコウちゃんがコーヒー屋デビューをする日。

豆太郎と出合って気づけば2年。
豆太郎から出されるミッションをクリアするたびに私とコウちゃんはどんどんコーヒーにハマっていって。
そしてついに7個目の豆ポイントをGET!
素敵なご褒美にワクワクしていたら…豆太郎の口から出てきたのはまさに今朝の夢のセリフ。
「褒美はお前たちの心の中にある」
私は全く意味が分からなくてちょっとガッカリしちゃった。
なんだかなぁって気分。
そんな中、コーヒークエストをクリアした夜、コウちゃんは唐突に宣言した。
オレ、コーヒー屋になる!!」
正直びっくり。
でもなんとなくこうなる気はしていたし、私もちょっとそういうのもいいかななんて思っていたから応援することにした。

それからはトントン拍子で。
鶴井さんの『ププ丸コーヒー』で修行をさせてもらって…
そして今日いよいよコーヒー屋デビューすることになった。
とは言っても、さすがにいきなりお店を構えるのはハードルが高すぎ。
だからまずは私たちが鶴井さんと出合った公園で開催されるマルシェにバザー出店してみることになった。

「ホットコーヒー1つください。それと…この豆も50gください」
「はい!」
初めてのマルシェだからお客さん来ないかも…なんて心配もしていたけれど始まってみるとポツリポツリとお客さんがやってきた。
緊張しながらも嬉しそうにコーヒーを淹れるコウちゃん。
私も紙コップを準備したりお湯を沸かしたり豆を計量して袋に詰めたり。
コーヒー屋さんは想像より楽しいかもしれない。
「ありがとうございました~」
そんな様子を豆太郎はニコニコ見てい…あれ??
いない。
「ねぇねぇコウちゃん、豆太郎どこ?」
「豆太郎?さっきまでこの辺にいたけど?」
キョロキョロと豆太郎の姿を探す。
やっぱりいない。
もしかしてマルシェの他のお店に遊びに行ったのかな?
そんな事を思っていると聞き慣れた声がした。
「こんにちは、初めての出店はどうですか?」
「鶴井さん!!来てくれたんですね!あ、ププ丸くんも」
鶴井さんの足元ではトイプードルのププ丸くんがブンブン尻尾を振っている。
『ププ丸コーヒー』の名まえの由来になった鶴井さんの愛犬。
浅煎りのコーヒーみたいな柔らかい毛色をしている。
「ふふふ、それじゃあホット1つお願いします」
「はい!ありがとうございます」
「ワフワフ」
「うん?ププもコーヒー飲むか?」
鶴井さんが笑いながらププ丸くんを抱き上げる。
「あ、そうだ鶴井さん。豆太郎見ませんでした?」
「師匠?見てないですね。ふふふ、もしかして新しいコーヒークエストのチャレンジャーを見つけたとか…」
「!!!えっ?まさか!」
私たちは顔を見合わせる。
いや、あり得る。うん。

「すみません、ホット1つください」
「はーい!」
マルシェももうすぐ終わりに近い時間。
コウちゃんのコーヒーを淹れる姿も様になってきた感がある。
「ちなみになんで『ちょぴっとコーヒー』っていう名まえなんですか?」
お客さんの若い女性が尋ねてきた。
「あぁ、ウチで飼ってるインコがちょぴって名前なんですよ。それと僕が1杯のコーヒーで小さな幸せを届けたいって想ったんで、それを合わせて『ちょぴっと』幸せを届けるコーヒー屋というイメージでつけたんです」
「へぇー素敵な名まえですね」
「ありがとうございます。はい、ホットコーヒーです」
「いただきます。…ホントだ。なんだか幸せな気持ちになったかも」
女性はふわっと笑顔になった。
その笑顔に私たちの心もなんだか温かくなる。

豆太郎との突然の出合いから始まったコーヒークエスト。
私にも今やっとご褒美が分かった。
うん、確かにコーヒークエストに挑戦したからこんな素敵な今がある。
最高に素敵なご褒美だね。
豆太郎、ありがとう!
直接伝えたいから近いうちに顔見せてほしいな。
「よし、そろそろ片付けるか」
時計がマルシェ終了時刻を指していた。
「そうだね。片付けますか!でさ、帰ったらご飯前だけどおやつタイムしようよ」
「そうだな。じゃあサクッと片付けるぞ」
「ラジャ!」
豆太郎のコーヒークエストは終わったけれどコーヒー屋さんのクエストは始まったばかり。
これから楽しくなりそうな予感がした。

そうそう、それから最後にあなたにメッセージ。
コーヒー豆の袋を開けるときは気をつけて。
豆太郎が飛び出してくるかもしれないからね!        

☆完☆ このお話はフィクションです。

最終回読んでくださってありがとうございます♬
大好きなコーヒーのお話を書けて楽しかったです(*´ω`*)
もしお家でコーヒー豆の袋を開けて豆太郎が出てきた人がいたら「ひかるとコウちゃんがたまには顔見せに帰ってきて」と言っていたとお伝えくださいませ!

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まいぱんだ
最後まで読んでいただきありがとうございました♪とっても嬉しいです(*^^*)

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