子供の絵
忙しい育児の日々の中で時々ふと、過ぎていった3年半を振り返ると時の経つスピードの速さに驚かされる。
そしてたったの3年半という時間であんなに壊れそうだった新生児の二人が立派に口答えをするくらいに成長したということに唖然としてしまう。
大人の時間を生きる私たちからしてみたら3年半でこんなに大きな成長はいくら頑張ってもできないのだからちょっぴりうらやましい。
そんな急ピッチで成長する双子達を見ていて最近面白いのが「絵」。
子供は絵を描くのがこんなに好きなんだ、というのがまず実感だったのだけれど、その絵の内容の進化にも驚かされる。
まずは子供は丸を描くことから始まると聞いていたけれど、まさにその通り。
去年の10月頭の絵。
頂点で線と線を合わせることを一生懸命ひたすら続けていた。
それからふと気づいたら、「これは太陽だよ」と具体的なものを描くことが始まった。
年が明けた頃に、今度は「人」を描くようになった。
これは顔、これは髪の毛だよ。と説明をしてくれる。
手は?とか足は?耳は?と横から聞いてみる。するとちょっと考えて付け足していった結果がこれ。
顔のすぐ下にある横線は、首。その表現力にびっくりした。まさしく抽象画。描くという行為が表象であるということに改めて気づかされた瞬間だった。
それから「お父さん」を描くとなると、ヒゲが生えてるよね、とその対象の特徴を捉えた(?)絵を描くように。
まだ絵を描き始めたばかりの彼ら。誰かに褒められたいから描いているわけでもない。確かに最近は褒めると嬉しそうにもっと描く!というようになったけれど基本的にはそうではなかったはず。
そして何か表現したいものがある、という確固たる画家の意志のようなものがあるというより、純粋な描きたいという欲求があるようだ。大人になってしまった私はそれをうまく言葉で説明できなくなってしまっているけれど、目の前の子供が絵を一生懸命描いている姿からそういう本能的な欲求を感じるのは確かだ。
それから、彼らはまだ何かを「模倣する」という段階にもない。何かをスケッチしている様子は全くなくて、頭の中に「イメージ」したもの、自分の知っているもの、頭の中でイメージできるものを描く。
だからなのか、イメージできるものであれば何でも良いわけで、つい先日から、とうとう「モンスター」なるものをどんどんと描くようになった。完全に想像上の生き物だ。これは絵本などですでに知っているモンスターを描いているわけではない。息子自身が頭の中でその時に浮かんだものを描いているのだ。
上の絵と少し似ているところはあるけれど、例えば真ん中の縦線は「いくつもある鼻」だそうだ。
モンスターだからたくさん鼻があってもおかしくない。つまり、モンスターというものの定義も理解しているということなんだな、と妙にそこにも感心。
周りを縁取っている縦線と横線のゲジゲジみたいなものは全て、「手足」だ。これは少し前に息子が編み出した「手」あるいは「足」の表現の仕方で、一本の線で手のひらや足を表現して、その線に対して垂直に何本も引く線で「指」を表現。これはモンスターだから指はたくさんあるし、手も足も何本もある、というわけだ。
口のところには大きな歯と唇。上部分に左右に浮かんでいる楕円形のものが耳だそうだ。
とにかく、私はこれは誰がなんと言おうと、天才的な絵だと思った。
これからどんな絵を描いてくれるんだろう。なるべくいろんなことに囚われない絵を描いていって欲しい。