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1,000倍の言い間違いはオモシロイけど,その計算過程を言わなくて,正解だったな

妻のゆかりちゃんが昇格したときだった。

僕は、「美味しいものを食べに行こう!  僕のお小遣いで御馳走するよ」
と提案した。

「ええ~?  イイよ、イイよ」


と、ゆかりちゃんは遠慮した。
でも、瞳はキラキラと輝いていた。


焼肉なら『雄山』、
 ステーキロブスターなら『ジャストグリル』、
 天ぷらなら『てる』、
 フレンチなら『フタツボシ』、って考えてみたけど」

と、僕は具体的な店名を出してみた。


「久しぶりだから」


と、ゆかりちゃんは、『天ぷら てる』さんを選択した。

地元で、「メッチャ美味しい」と評判の天ぷら屋さんで、僕は、まだ行ったことのなかった。
ゆかりちゃんは、かなり昔、先代のときに1度行ったことがあるらしい。

2代目は、新しいお店を春日井市の真ん中に移転した。オシャレな和風モダンで、高級感が漂う店構えになっている。


カウンター越しに、大将が、新鮮な旬の食材を揚げる。
全てが、とても美味しかった。

この食材が今日イチだな、と思ったのに、次の食材が超えてくる。
それが続くので、僕は『今日イチ探し』を諦めたくらいだった。


この写真は、カウンターに置いてあった大きな日本酒の瓶に、興味津々の、ゆかりちゃん。
通常の1升瓶より、かなり大きかった。

「これ、なぁ~に~ぃ?
 普通より大きいよねぇ~」

と、ゆかりちゃんが僕に聞いた。


僕は、「一升瓶の倍かな?  ん?  もう少しデカいかな?」と答えた。

「4,500!
 4,500リットル!」

と、ラベル情報を、ゆかりちゃんが共有してくれた。

・・・。

僕は、しばし考えた。

1リットルのペットボトル(ミネラルウォーター)をイメージしてみる。
それが4,500本?
それは無い!
そこまで巨大ではない。


4,500 ミリリットルだ。
1升瓶は1,800ミリリットルだから、2.5升だ。

そのような瓶があることを、僕はその時、はじめて知った。


僕は、計算過程を省略して、「2.5升だねぇ~」と言った。

ゆかりちゃんは、

「倍以上だ~!」


と喜んでいた。


ゆかりちゃんは、イイ感じに、ほろ酔いだった。
その日のゆかりちゃんは、格別に可愛かった。







おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1611話です
※僕は、ゆかりちゃんが大好きです。

PS

私、奈星 丞持(なせ じょーじ)は、note創作大賞2024に応募しました。

小説です。タイトルは『恋の賭け、成立条件緩和中』です。
こちら ↓ です。

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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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