![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71898182/rectangle_large_type_2_7127bc51e315cb004768f371809a667c.png?width=1200)
クチだけの僕の心に品川さんの言葉が刺さり、真に上下のない世界観にデビュー
「職業に貴賎なし」
この言葉を僕が知ったのは、20代か30代の前半でした。
アニメ『名探偵コナン』のキャラクターの1人、灰原 哀が言い放った、
「教師ならば子どもたちに、まず『職業に貴賎なし』を教えて然るべき」
というセリフも、印象深く記憶しています。
僕は、この言葉の意味を”知って”いました。
妻のゆかりちゃんは、この言葉を知らないのに”実践”してくれました。
今日は、そんなことを綴ってみます。
◆職業に貴賎なし
・読み方:しょくぎょうにきせんなし
・意味
職業による貴賎の差はない、という意味の表現。一般的には、どのような仕事も社会に必要とされているものである、働くこと・職務を全うすること・労働をして稼ぐことは等しく貴いことである、人を仕事の内容によって差別すべきではない、などといった意味合いで用いられることが多い。
『貴』は、身分や地位が高いことです。
貴い、とも言います。
『賤』は、身分や地位が低いことです。
賤しい、とも言います。
『貴』や『賤』は、職業にはありません。
職業には、貴いも賤しいもないのです。
僕が思うに、貴賎があるのは『その人の働き方』です。
政治家や医者、弁護士などは「先生」と呼ばれます。
立派な先生方がいるのは事実です。
しかし、賄賂を要求する政治家もいますし、医療ミスを揉み消す医者や、悪徳と呼ばれる弁護士もいたりします。これも事実です。
僕が、「職業に貴賎なし」というフレーズをしょっちゅう使ったのは、高校生の大学受験に携わっていた時でした。
保護者の価値観で、高校生の『夢』や『好きなこと』が潰されてしまうことを守るために引用したのです。
◆「属性」という言葉
「属性」という言葉があります。
・読み方:ぞくせい
・意味
1 ある事物に属する性質・特徴。「ゴムの―である弾力性」
2 哲学で、事物が本来具有する根本的性質。それなしには実体が考えられないような本質的な性質。
3 コンピューターで、ファイルのもつ性質。また、表示・印刷などの際に設定する特性。アトリビュート。
辞書にはこのようにありますが、僕の知る不動産業界では別の意味で使われていました。
「あのお客さんは属性が高い」
「あのお客さんは属性が低い」
このように言うのですが、このときの『属性』は、
職業、業種、役職、勤続年数などで、社会的に評価されるランク
という意味でした。
銀行の住宅ローンの審査が、通りやすいか否かは、この”属性”で判断されるのです。
住宅ローンの審査が通らないお客さんに、一生懸命営業しても時間のムダになりますので、「まず属性をチェックしろ」と口酸っぱく指導されました。
◆タクシー運転手
37歳で独立し、起業に失敗して、不動産営業マンを経由して、僕はタクシー運転手になりました。
(落ちるところまで落ちたなぁ)
と思いました。
乗務中、知人がお客さんとして乗車するケースを怖れました。
僕は「職業に貴賎なし」という言葉や、その言葉の意味を知っているだけでした。僕の心には、明確に”職業に貴賎”があったのです。
◆品川庄司、品川さんの言葉
お笑い芸人”品川庄司”の品川さんが、このようなことを言っていました。
「下とも同等、だから、上とも同等」
「下の人を見下しちゃうと、上の人にへり下ることになる」
僕は、一般的に『上の人』といわれるその属性を、崇めたり怖れたりしません。
その人の内面に目を向けて、耳を傾けようと、そのように心がけています。
『上にへり下る人間ではない』と、自分をそのように思っていたのです。
しかし僕は、自身の”タクシー運転手”という職業を下に見ていました。
品川さんのセリフは、
「じょーじさん、あなたは下の人を見下しているのだから、その本性は、上の人にへり下っているのですよ」
という意味となり、僕の胸を鋭く突き刺したのです。
しばらくして僕は、このnoteに”タクシー運転手”という経歴を書くことができるように変わりました。
◆最近の妻は、ときどき首をかしげる
ゆかりちゃんとは、僕が不動産会社の営業マンのときに出会いました。
約7年間の遠距離恋愛を経て、結婚しました。
不動産営業マン
ゆかりちゃんと出会い交際開始(遠距離恋愛)
↓
建築家(匠)を目指し工務店勤務
↓
タクシー運転手
↓
愛知県に引越し、ゆかりちゃんと結婚
タクシー運転手
↓
運行管理者
同じタクシー会社での職種変更
↓
脱サラ
現在、文筆家
このような変化を経て、現在に至ります。
結婚丸7年です。8年目に突入します。
ゆかりちゃんは、属性がどんどん下がる僕を許容してくれたのです。
ゆかりちゃんは僕と違って、「職業に貴賎なし」なんて、そんな偉そうな能書きを言ったりしません。
でも、「職業に貴賎なし」を、実践してくれました。
このような女性は、そうはいません。
日本で1人しかいない希少な女性に、僕は巡り合えたのです。
このことを話すと、最近のゆかりちゃんは首をかしげ、こう言います。
「あの頃の私、なんでだろう?」
真剣に考え込む様子は、まったくもってジョークには見えません。
◆〆
この記事は、過去記事の書き直しです。
過去記事の〆が面白いので、ここでもご紹介いたします。
僕は、出勤の準備を終えて珈琲を入れていた。時刻は6時36分。
土曜日だから、ゆかりちゃんはまだ寝ている。
僕は、くしゃみをした。
すると寝室のドア越しに、ゆかりちゃんが何か言い出した。
(ああ、僕のくしゃみで起こしちゃったかぁ、ごめ~ん)と思った。
「わたし今日、臭うから~、ここで~」
ドア越しに聞こえるゆかりちゃんの大声。でも意味が分からない。
僕は寝室のドアを開けて、「どゆこと?」と聞いた。
「ん? はっ!」
「寝てた~、夢見てた~」
と、ゆかりちゃんは言った。今日は臭うらしい。
僕はゆかりちゃんが大好きなのです。
おしまい
※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第678話です
PS.僕の、初のKindle本『いいかい、タケルくん』を出版しました!
読むと、恋人ができてしまう自分に変わります。そういう本です。
ご一読いただけたら幸いです。
kindleアンリミテッド会員、Amazonプライム会員は、全て無料で読めます。こちら ↓ に詳しく書きました。
いいなと思ったら応援しよう!
![奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76807197/profile_1b131e63b956beac74502f9366356404.jpg?width=600&crop=1:1,smart)