第89話 モノの見方・考え方
半分の水
有名なのは、コップに半分ほどの水。
「もう、これしかない」と、「ない」という人。
「まだ、半分ある」と、「ある」という人。
真逆なのだ。
そして、同じ事実をとらえて言っているのだ。
それが、モノの見方・考え方である。
知識も大事だが、それ以上に【モノの見方・考え方】が大事だと思う。
給料
僕たちは、同じ単語を使っていても、その単語の定義がバラバラだったりする。
【給料】は、その格好の例になる。
時給という意味で使う人がいる。「こんなに働かせて、これっぽっちの給料かよ!」と怒ったりする。
おそらく経営陣は、「給料とは、あなたの仕事の成果に対する報酬だよ」と思っているはずだ。そこには、時給的な考え方はなく、会社の業績へ貢献したか否かという考え方だけだ。
「給料が安い!」
「全然安くない」
いやいや、その前に【給料】という定義を整えましょう。確認しましょう。共通にしましょう。
こんなことが良くある。これも【モノの見方・考え方】が異なるケースだ。
ネット炎上
僕は、詳しくは知らないのだが、SNSで誹謗中傷を浴びせられ自殺したというニュースがあった。
会社の同僚が「しかし・・・。よく人のこと、叩くよなぁ~」とつぶやいた。
僕は同感だった。
罪人に民衆が石を投げつけていている。そこにキリストが現れる。
「止めるな! 奴は、これこれの罪があるのだ! 明確な罪があるのだ!」
キリストは、「わかった。これまで一度も罪を犯していない者は、石を投げれば良い」と言ったという。
そんなことを、この手のニュースを聞くたびに思っていた僕は、「ホント、よく人のこと叩けますよね~。自分のことを、どんだけ立派な人間だって思っているんだろう? そもそも立派な人間だったら、そんな人を叩いたりしないし」と言った。
同僚は、「いや、そうじゃなく、叩いたら損害賠償で訴えられるんちゃう? 刑事罰はなかったとしても、民事で訴えられかねんやん。オレなら、よお言わんわ~」と言ったのだ。
これは、理由が違っていたのだ。
モラルや良識を考えた僕と、損する可能性があるという考えをした同僚。
たまたま「よう、ひとのこと叩くなあ~。アホちゃうかなぁ」という結論だけは同じだった。
整理&確認
水は、事実は同じ。解釈が真逆。
給料は、単語は同じ。定義が違う。
炎上は、結論は同じ。その結論に至った理由が違う。
このように、【モノの見方・考え方】はもの凄く重要なのだ。
かわいそう
人は、小動物には優しくした方がいい。これは大前提で、おそらくは常識だ。
小動物を虐待するなどは、もってのほかだ。
その常識を、その大前提を持ち合わせた人たちが、話し合いをした。
マンションにおける鳩被害だ。
主に鳩の糞被害。ベランダに巣をつくるケースもある。
特に被害のひどい場所があり、ベランダや車が糞だらけ。鳴き声がうるさいという被害もある。
巣には虫などがたくさんいるだろうし、糞も、汚れの除去が大変だということ以外に、雑菌もめちゃくちゃ怖い。もしも、僕の車に毎日糞が落ちていたなら、僕は頭がおかしくなるかもしれない(めっちゃ車好きで車は手洗い)。
3~4戸の方たちが、深刻な被害にあっていた。
鳩を寄せつけないために、鳩が止まるところに【ピン】を付ける。長い針のような物だ。先端は、決して針のようにとがってはいない。
屋上など、鳩が止まり休んだり歩いたりするところを、そのピンだらけにするのだ。壁のヘリやベランダのヘリを、まるでウニのようにするのだ。
鳩から、止まる場所、休憩する場所を奪うのだ。
そうすることで、鳩にとって居心地の悪い場所となる。うまくいけば鳩が来なくなる。そういう対処法だ。
そのことを知ったご近所のAさんが
「ハトちゃん、かわいそう~」
と、のたまわったらしい。
それも、被害が尋常じゃなかったKさんに言ったのだ。Kさんは常識人なので、苦笑いで済ませたのだが・・・。
さすがのKさんも、後日、ゆかりちゃんにそれを語って、ガス抜きをしたのだった。
これは鳩を、「ハトちゃん」と見るか、害鳥と見るかの違いだ。
結論
今日の記事の結論。
こういう経緯で、ゆかりちゃんは、Aさんを「ハトちゃん」と呼ぶようになったのだ。
「昨日、ドラックストアでハトちゃんに会ったで~」とか、そういう使い方をするのだ。
散歩をしていて「ハトちゃん」と会ったときには、ゆかりちゃんは明るく挨拶し、ひとことふたこと軽く会話をする。
ちゃんと、裏表がある人間なのだ~。はは。
僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。