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第80話 ちょうどイイ焼き


ゆかりちゃんが、「場所がわかる」と。

「ゆかりちゃんが、私ってバレる」と。

だからダメ。


・・・ということで店名が書けない。


書いて、その店を応援したい。

そのお店を、たくさんの人に紹介したい。

でも、どちらも無理。


・・・旨いんだ~。

出てくる全部の料理が、いちいち、全部、めちゃくちゃ旨い!


サラダが旨いし。

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シーフードが旨い。

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肉も旨い。

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焼き加減がちょうどイイ!


いつも、ワインをボトルで頼む。

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最初の1杯はビール!


ちょいちょい、ゆかりちゃんが映っている。


歩いて行ける店。

ありがたい。


帰り路。

ゆかりちゃんは千鳥足。

僕の腕に手を絡める。


「マンションの住民に見られるで~」といっても、もう、できあがっている。


帰宅し、ソファーにゴロン。


午後に行なった修繕委員会のことを、ひとこと、ふたこと。

「A社は、プレゼンが残念~」

「B社は、部長~! 話し長いし~」


僕は、ゆかりちゃんの酔っ払いが大好きだ。

カワイイのだ。

ゆかりちゃんは、あまりお酒を飲まないから、酔うことは滅多にない。


うたた寝に入ったゆかりちゃんが、言った。

「じょーじ。6000円な~。忘れんうちにもらっとくわ~」

お会計の半額をつぶやく。


1000円札を6枚渡す。

ゆかりちゃんは、それをパ~っとばら撒く。 

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ゆかりちゃんには、何百万円に見えてるのだろう。両手を広げている。

たった6枚だけど・・・。

キャッキャと笑っている。


そしていま、ソファーで爆睡中。



僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。







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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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