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第399話 ボロボロのグラスジョーが書く『5日前の散歩』

◆僕は、グラスジョー

僕は、・・・実は、打たれ弱い。

グラスジョーだ。

なので、今日は、メンタルがボロボロで、深い記事など書けない。

このまえ、ゆかりちゃんと散歩したときに、スマホにメモを取った。
そのメモを記事にする。

手抜き記事だ。


◆5日前の散歩

夜、「ラーメンを食べたから、散歩しようか?」と、どちらかが言った。

2人での散歩は、けっこう久しぶりだ。

コースは、ゆかりちゃんに任せた。

「電車が見れるから」と、ゆかりちゃんは南へ歩き出した。

中央本線の線路に着くと、踏切は遮断機が下りていて、「カンカンカン」と鳴っていた。

「電車が来るで!」とか、
「あの光は、なんで青い?」とか、
「この丸い筒は、なに?」とか、

見たモノ、見たコトを、すぐに言葉にするのが、ゆかりちゃんだ。

だから散歩すると、

「でっかい家やねぇ~」

と、3回は口にするのが、ゆかりちゃんの常だ。

僕たちは、住宅街を好んで歩く。

2人とも、『なんちゃって住宅評論家』。
間取り図を見るのも好きだし、住宅のチラシは僕たちには不必要なのだが、それでも僕たちは、必ず、見てから捨てている。

見ることが楽しいから。


◆遠くまで

その日は、いつもより遠くまで歩いた。

15分くらいで折り返すのかと思ったが、ゆかりちゃんの思っているコースは、もっと遠くまで歩き、それからの折り返しだった。

僕たちは、ず~っと、しゃべりながら歩いていた。

僕たちのラジオが話題になって、こんな会話になった。

じょーじ:ゆかりちゃんのオモシロさは、YouTube向きなんだよなぁ

ゆかり :イヤやて~、顔出しなんか~

じょーじ:ゆかりちゃんのカオ芸が伝わらないのが、もったいなくてさぁ~

ゆかり :あんた、コッスイでぇ~
     わたしは本名で、あんたは「じょーじ」とかでさぁ~


じょーじ:オレ、むかし~、モテたからさあ~
     それで、ネットで攻撃されたこと、あったやん

ゆかり :それ、じょーじがモテたんとちゃうで!
     じょーじが稼いで持ってる、『お金』が、モテたんやでぇ


じょーじ:そうやぁ、その通りや~

ゆかり :ん?
     ・・・
     なんで・・・


じょーじ:ん?

ゆかり :なんで、わたし・・・、
     お金がたくさんあるわけでもない、そんなじょーじと・・・、
     付き合ったんだろう?


僕は笑顔で、

「なに言ってんね~ん、あの頃は、ゆかりちゃんの方がホの字やったやん」

と、言おうとして、ゆかりちゃんを見た。

ゆかりちゃんが、真剣に、考え込んでいた。


僕の笑顔は苦笑いに変わった。

苦笑いのまま、この話題はスルーした。
たぶん、話題はすぐに変わったハズ。

僕の左胸が、少し、「チク」ってしただけだ。


◆あのね

あのね。

いい。

ゆかりちゃん、いいかなぁ。


本気で考えるなよ~!

本気で考え込まれたら、ヘコむわ~。


◆そこは、ちゃうやろ パート1

そこはちゃうやろ~。

例えば、

「わたしは、お金目当てちゃうで~!」
「 『さすが』やら~?」
「感謝しいや~」

とか言って、

で、僕が、「せやなぁ~」って言って、

ラブラブ感up! これが定番じゃないか~~~。


◆そこは、ちゃうやろ パート2

もしくは、

「わたしはまだ、高収入の暮らしも、そして贅沢も、全然知らんのやて~」
「早くたくさん、印税を稼いでや~」

「おう!」

とかやろ~~~。


◆そこは、ちゃうやろ パート3

あるいは、

「実はわたしも、・・・金目当てなんやて~」
「昔のように、いっぱい稼いでもらわんと、計算が狂っちゃうや~ん」

「わははは~」

とかやろ~~~。


◆〆

真剣に考え込む。

これだけは、ない!

でもイイのだ。

僕の記事に笑わなくても、
僕のどこがスキになったのか思い出せなくても、

でも僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。





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奈星 丞持(なせ じょーじ)|文筆家
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