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あいつとの別れ

あいつと別れたとき、私は今の夫の元へ逃げていた。

暴力をされていたこともあり、もう無理だと悟っていたのだろう。
しかし、私は自分がもういいやと思うまで、あいつと向き合おうと決めていたのだ。

決め手となったのは、私にネイルサロンを開く話があったことだ。
これからもっと忙しくなる可能性があったので、
「晩ごはんを作って待っていてほしい」とお願いした。

あいつは「わかった!」と前向きな様子。
あの時はきっと向き合ってくれていたのだろう。

しかし帰宅したらどうだろう。
家事は何もやっておらず、おまけに晩ごはんを作っていなかった。
ダラダラしているアイツを見て、こう言った。
「何してたの?」
もちろんあいつも仕事に疲れていたのだと思う。
しかし、同棲というのはまさに助け合いだ。

その後何を言われたか覚えていないのだが、あいつは外に出ていってしまった。

涙で溢れた私は、何気なくスマホを取る。
そして、今の夫に電話をかけた。
「もう無理かもしれない」

きっと私の心に限界が来たのかもしれない。
その後すぐに夫が迎えに来た。

それよりも以前にアプローチを受けていたということもあり、その夜夫と付き合うことを決めた。

あいつに言えなかったことがある。

「あの時、私に限界を与えてくれてありがとう」

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