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『コードギアス 復活のルルーシュ』+『反逆のルルーシュ劇場三部作』感想

TV版との比較をしやすいように間を置かずに総集劇場三部作「興道」「叛道」「皇道」を見た後「コードギアス 復活のルルーシュ」を観たのでその感想。

『興道』

第一部。TV版の約3分の1、「反逆」17話までの総集編。
エピソード削減を最小限に物語背景と現状を視聴者に伝える新規シーンを要所に挟みつつ無理なくまとめられている。当時を想起させるOPEDは視聴者にもう一度期待を感じさせてくれた。
でも黒の騎士団結成宣言がないのはやっぱり勿体無い。ルルーシュにとって重要な組織を立ち上げた大見得シーンだよ。
なおマオ編はごっそりカットされており、それに伴うシャーリーを本筋に絡ませる流れは再編される事は無く削除されている。

『叛道』

第二部。「反逆」18話から「R2」17話までの総集編。
ほぼ2クール分というエピソード区間だが、「R2」1話~13話のエピソードはほぼすべてカットされているため実際はおよそ1クール分。この事実から「R2」が如何に虚無の塊だったかが分かる。
無駄をそぎ落とした結果、中だるみすることなく「反逆」から「R2」への移行もスムーズに行われ、テンポのいいシナリオ展開となっている。
新規シーンは前章同様素晴らしい出来栄えとなっているが、反面既存シーンの修正は皆無でカットしたシーンとの擦り合わせが出来てない(カレンが黒の騎士団だからルルーシュはゼロという飛躍した理論を展開するなど)ため結局ケチが付いてしまうのが惜しい。

『皇道』

第三部。「R2」18~25話の総集編。
一部二部と比べるとほぼノーカットでTV版通りの展開が広げられる。総集編らしい疾走感だがTV版の時点でこれなので恐ろしい。
シュナイゼルを悪役として受け入れやすい展開がされている以外はこれと言った変更点は無かった。
また、当時ボコスカに叩かれていたらしい扇は最後までゼロに説明を求める台詞に変更されていたが、これでも許されず軽薄な裏切り者扱いされているのでルルーシュファン怖いなって。

『復活のルルーシュ』

復活のルルーシュのここが良い

・すべてにおいて本編を上回るクオリティの作画、キャスト、アクション、キャラの掛け合い。特に良いと感じたのはカレンで、戦闘シーンからも勝気で仲間意識の強い性格がしっかりと感じ取れた。
・ギアスの演出やナイトメアの動きなど、本編を彷彿とさせるシーンが多い。
・上記含め続編を実感させるファンサービスが多く、ちゃんとシュナイゼルの目を赤く(ギアスによりゼロに仕えている証拠)してたりもする。
・「反逆」ぶりのコーネリア皇女殿下の出撃と共闘。
・他にも多くの本編キャラが登場しており後日談的な満足度が高い。
・ルルーシュが復活する。
・最後にルルーシュがC.C.にかける言葉。成田でのやり取りを彷彿とさせる、ルルーシュとC.C.の物語の〆としては完璧と言える台詞。

復活のルルーシュのここが悪い

・本編後の世界として多くの人が見たかったであろうゼロ=スザクの活躍が無い。スザクは冒頭から本人としてスザクらしく動いており、ゼロとして振舞うシーンは皆無だった。
・本編はスザクとのW主人公で展開されていたのに対し、復活は主人公ルルーシュ、ヒロインC.C.で展開されるためスザクの扱いが本編より落ちる。生きて世界を背負ったスザクに対してそれは無くないか?
・ルルーシュが復活する
・ルルーシュが最後にC.C.と共に歩む

総評

ファン待望の10年ぶりの新作で恥ずかしく無い高クオリティの作品だが、一言で言うと「C.C.ルート」。続編というよりは本編でやりたくてやれなかったC.C.中心の物語展開を改めてやり直したという感じ。
ルルーシュが復活したため形だけ見ると世界をスザクに押し付けてるし、C.C.と連れ添うのに本編で唯一あったC.C.イベントの成田でのやり取りを引き合いに出さないのは本編無視して作った感が拭えない。
そもそもの話だが、C.C.をヒロインに据えるには今までルルーシュとの間で心のやり取りが殆どされていないのが問題で、ここに着地させたいのならば「反逆のルルーシュ三部作」で大きく改変するべきだった。新訳機動戦士Zガンダムって作品知らないんですかね?
良作だが根本でケチが付いてしまう一作。

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