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パトカーに追いかけられヘリコプターで照らされた話 前編



南部です。

これは墓場まで持って行こうとした話なのだが、皆さまサウスセントラルのお話を楽しんでくれたようなのでやばい話をする。本当にガチのマジの実話です。
結論から言うと、パトカー3台、ヘリコプター1台に追われたことがある。そして私は一切法を犯していない。


これは私の第二の故郷aka人類が最後に行き着く土地、サウスセントラルで起きた大事件である。

サウスセントラル近くのcrenshaw(クレンショー)という通りがある。コンプトンにワッツ、イングルウッドなどLAじゅうのやべえエリアを走る通りで、西海岸hip hopでもよく歌詞やらラップやらで登場する大通りだ。
そのcrenshawでは「crenshaw takeover」というイベントが不定期に行われている。(ヘッダーは実際の写真です!)
内容としては、深夜に大きな交差点のど真ん中にレースカーが集まり、交通を勝手に止め、車のドーナツ(ドリフトを綺麗な円状に行うもの)を勝手に行い、警察が来たら次のロケーションへ勝手に逃げ、別ロケーションで運転と車に自信のあるものたちが再び勝手にドーナツを披露する。
もちろんバチコリ違法である。
(3回に1回はギャングが発砲して亡くなる人もいるので、現地の絶対に信頼できる人と行ってくださいね!)

私は見るだけの人間だったので、友人たちと一般車で向かい、おーすげーと車を眺めるだけで帰るのだが、ある日車を愛するM(いろいろやらかしている人なので名は伏せます)という友人の友人がどこからともなく現れ、Mがご自慢のレースカーでドーナツショーに参加するというのだ。
この時わたしも一緒になってやれやれー!と言ったので後に私に起こる事件はカルマとして処理する。
Mと、89(エイティーナイン)という友人と、89の妹と、わたしで向かうことになった。

車が集まる交差点。
ドーナツショーに参加する車達が交差点のど真ん中に車を停めほかの通行を妨げればショーの始まりである。

助手席から上半身を出しておどける者、車ギリギリに近づきインスタ映えを狙うも轢かれかける者、慣れずにエンストする車、通行を妨げられ「勘弁してくれよ」とクラクションをブチ鳴らすトラック。このカオスこそがcrenshawである。

Mの運転はプロ級で、コンパスで描いたような見事なドーナツさばきに皆盛り上がった。そして皆で次のロケーションに向かおうとした際に事件が起きた。
レースカーによるプチ渋滞が起こる中、私たちの真後ろがパトカーだったのだ。
青信号で発進しようとした途端パトカーの赤と青のライトが光る。路肩に停車しろという合図だ。
Mは路肩に停めようとゆっくり走る、フリをして、その瞬間に「aight imma take it(よし、やるしかねえ)」と言った。それだけ、もう、その後は何も言わない。
そして車はデロリアンのように私たちの頭をぶるんと揺らして爆走し始めたのだ。

ここで皆悟ったことは、彼には運転しては行けない違反歴か犯罪歴があるということ。それが罰金では済まないくらいまずいということ。(多分豚箱いき)

座席に体がめり込むくらいスピードが出ていた。

どのくらい走ったか。

その時、SF映画のような光が頭上にさした。

…警察のヘリコプターである。

ちなみに警察のヘリコプターはものすごい光量で治安の悪い地域を照らしながらよく飛んでいるので、ghetto birdと呼ばれる。「スラムの鳥」という意味だ。こんな英語まじで覚えなくていいです。
私たちの後ろにはパトカーが3台ほどいただろうか。頭上にはghetto birdである。

どうして。数年前まで平和に生きていたのに。全部サウスセントラルのせいだ。神様。おばあちゃん。ごめんなさい。


続きます。


終焉


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