ワクワクさんが小学校に来た日
南部です。
小学一年生の時、私の小学校にワクワクさんがやってくるという一大イベントがあった。
ワクワクさんは平成キッズは絶対にハマったであろう大人気工作番組「つくってワクワク」のメインパーソナリティで、毎回斬新なアイディアで子供でも真似できる簡単かつ画期的な工作を披露してくれるのだ。
そんなワクワクさんがある日の放課後私の小学校のBOP室にくることになった。低学年はなぜか親も同伴せねばならず、母親が来てくれた。
ワクワクさんは厚紙で作った三角帽子にボールを糸で繋ぎ、アラヨっと頭を降ってけん玉の要領でボールを頭頂部に乗せて遊べる、というおもちゃを披露してくれた。
やはりどこかおかしい私は、工作よりなによりも「げ、芸能人の声量ってすげえ…」と思っていた。
するとワクワクさんが、「じゃあこの帽子を被って遊んでみたい人!」と言うので私も必死に手を伸ばし「ハイ!ハイ!!」と言った。するとあろうことか、横で座っていただけの母が指名されてしまったのだ。
きっとチビの低学年だからなんか暴れたりして変な空気になると思われたのかなんなのか、理由は未だにわからないので、いつかご本人にお会いできることがあれば聞いてみようと思う。
母は非常におっとりしたひとで、人前に出るのは苦手だ。家でクセの強い本を読むかクセの強い国に一人旅へ出かけるのが生きがいの生粋の陰キャなのである。
そんな母親が60人ほどの親・子供の前でデカい三角帽子をかぶり、ええいと頭を振ってタマを頭上に乗せることになってしまった。
母親は3回ほどええいと頭を振ったがタマを頭に乗せるのはなかなか難しく失敗に終わり、子供たちからは謎の拍手が送られ、母の公開処刑は終わった。
ワクワクさんは三角帽子にサインを入れてプレゼントしてくれた。
ワクワクさんは平成キッズのヒーローだ。
終焉
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