笠女郎が家持に寄せる歌(19)思ひにし 死にするものに あらませば
思ひにし 死にするものに あらませば 千度そわれは 死にかへらまし
(万葉集巻4-603)
人が恋で死んでしまうものならば、私など千回も繰り返し死んだことでしょう。
笠女郎の激しい恋心を象徴するような歌。
苦しくて苦しくてしかたがないけれど、死にきれない。
何とかして、再び、大伴家持との逢瀬を果たしたい。
しかし、逢うことはかなわず、また死ぬような苦しい思いを無限に繰り返すことになる。
大伴家持に恋の歌を贈りながら、これは笠女郎の苦しい心のつぶやきのような歌になる。
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