伝道者の書第103話地の上に空な事が行われている。
(原文:第8章14)
地の上に空な事が行われている。すなわち、義人であって、悪人に臨むべき事が、その身に臨む者がある。また、悪人であって、義人に臨むべき事が、その身に臨む者がある。わたしは言った、これもまた空であると。
人間が住むこの世界には、虚しい事が行われている。
本来は、義人に対して行われるべきことと、悪人に対して行われるべきことの逆転が、見られるのである。
つまり、義人には不幸が与えられ、悪人には幸福が与えられている。
この実感を感じなかった人はいなかったと思う。
結局、人間は、この逆転現象を皆無とすることはできない。
それだから、神などの超自然的な存在に頼る。
しかし、ここで考え違いをしてはならない。
神などの超自然的な存在は、人間の願いを果たす、「使役させる存在」ではないということ。
神などの超自然的存在が、その願いを果たさなかったからといって、責めることはできない。
やはり、厳しいけれど、「自助努力」が、まず第一なのだと思う。