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土佐日記 第13話二日~三日

(滞在地) 大湊

(原文)

二日、なほ大湊にとまれり。講師、物、酒などおこせたり。
三日、同じ所なり。もし風浪のしばしと惜む心やあらむ、心もとなし。

(舞夢訳)
二日。
今日も船は大湊に泊まったままです。
先般、お見送りのご挨拶に来られた国分寺の講師から、料理や酒などが、届きました。

三日。
今日も、船は同じく大湊に泊っております。
とにかく風と波が強い状態です。
もしかすると、風と波のようなものにも「もう少し土佐にいて欲しい」などと思う心が、あるのかもしれません。
(いつになったら出発できるのだろうかと)実に不安でなりません。

国分寺の講師の届け物は、風と波が強くて出発できない紀貫之への陣中見舞いらしい。
同じような状態は翌日も続き、風と波に恣意的に留められていると感じてしまう。
人間の力ではどうにもならないものの、先行きを考えると、やはり不安は増して来る。

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