枕草子 第69話七月ばかりいみじう暑ければ(1)
清少納言先生:今日から新しい話に入ります。
舞夢 :はい、それではさっそく現代語訳します。
七月ごろは、本当に暑いので、全てを開け放ち、夜も戸締りをしないで朝を迎えます。
満月の頃は、目を覚まして外を見ると、本当に美しい。
空に月がない下旬の闇夜も、なかなか趣があります。
有明の月が残っているのは、言うまでもありません。
よく磨かれた板敷の間の端の付近に、見るからに新しい畳を一枚敷き、三尺の几帳を奥の方に押しやっているのは、興味をそがれます。
几帳は、端の方に立てるのが、良いと思います。
人目を気にしているのだろうけれど。
清少納言先生:はい、お疲れ様です。
舞夢 :夏の暑く寝苦しい夜がテーマですね。
清少納言先生:とても、締めきっては眠れませんし。
舞夢 :月はともかく、逢瀬も目立ちますね。
清少納言先生:何しろ開け放っているのでね。
現代人のエアコンをつけた生活なら考えもよらない話。
開け放しで眠るなど、現代では非常識極まりない。
ただ、それが普通であった時代、どのような逢瀬があるのだろうか。
暑過ぎて、逢瀬など、したくなくなる場合もあるかもしれない。