伝道者の書第149話彼らはまた高いものを恐れる。
(原文:第12章5)
彼らはまた高いものを恐れる。恐ろしいものが道にあり、アーモンドは花咲き、いなごはその身をひきずり歩き、その欲望は衰え、人が永遠の家に行こうとするので、泣く人が、ちまたを歩きまわる。
これも老人の比喩。
「高いものを恐れる」は、青年時代は平気だった梯子のぼりも、足腰の衰えで怖くなるし、階段も辛い。
「アーモンドは花咲き」は、アーモンドの花が白いことから、白髪が増えること。
「いなごはその身をひきずり歩き」は、老人が腰を曲げて、のろのろと歩く様子。
「その欲望は衰え」は、老人になると、食欲も性欲も衰えてしまうこと。
「人が永遠の家に行こうとするので」は、その人の葬儀の日が近づいていること。
泣く人が周囲に増えるのも、時間の問題になる。
伝道者は、残酷なまでに、老人つまり老境の苦しさを、比喩により表現する。
「そこまで?」と思う人は、若く、実感がないからと思う。
「老人になれば、皆そうなる、だから、笑ったり、蔑んではいけない」
当たり前すぎると思うけれど、それを理解できない人も、また、無くならない。