笠女郎が大伴家持に寄せる歌(23)相思はぬ 人を思ふは 大寺の
相思はぬ 人を思ふは 大寺の 餓鬼の後に 額つくごとし
(巻4-608)
片思いの貴方を ひたすら思い続けるのは、まるで大寺の餓鬼の像のおしりを拝むような、みじめで無意味なことなのです。
ついに笠女郎は、大伴家持をあきらめたようだ。
家持は、どれだけ思っても振り向いてはくれない。
そんな貴方を思い続けるなど、餓鬼像(地獄に落ちた痩せこけた亡者)のお尻に額づいて拝むような、みじめで無意味なことのです。
「大寺の 餓鬼の後に 額つくごとし」、みじめで無意味であるとの意味と思うけれど、強くて珍しい表現。
笠女郎は、大伴家持をあきらめるにあたって、強い表現にて、自分の気持ちを断ち切ったのだと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?