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土佐日記 第36話 十八日、①

(滞在地)室津

(原文)
十八日、なほ同じ所にあり。
海あらければ船出ださず。
この泊、遠く見れども、近く見れどもいとおもしろし。
かかれども苦しければ、何事も思ほえず。
男どちは心やりにやあらむ、漢詩(からうた)などいふべし。

(舞夢訳)
十八日になりました。
今日も同じく室津におります。
海が荒れているので、船を出すことができないのです。
この室津の泊は、遠くを眺めても、近くを眺めても、実に風情のある場所です。
ただ、そうは言っても、(これほどまでに、船旅が進まないとなると)、気持ちが沈んでしまって、風情のある風景を目にしたとて、どうでもいい、そんな感じです。
男性がたは、気晴らしでもしようと思うのでしょうか、漢詩などを吟じております。

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