伝道者の書第42話わたしはまた、日の下に空なる事のあるのを見た。
(原文:第4章7、8)
7 わたしはまた、日の下に空なる事のあるのを見た。
8 ここに人がある。ひとりであって、仲間もなく、子もなく、兄弟もない。それ でも彼の労苦は窮まりなく、その目は富に飽くことがない。
また彼は言わない、「わたしはだれのために労するのか、どうして自分を楽 しませないのか」と。
これもまた空であって、苦しいわざである。
求めるのは、富だけ。
独り身で、仲間も、家族もない。
どんなに苦しくても、関心は富だけにある。
そして、そういう人は、誰のために労苦を耐えているのかなどは、全く考えない(そもそも、誰のためでもないから)。
自分自身を楽しませようとも、考えない。
金銀財宝、通帳残高への尽きることのない欲求のためには、どんな労苦も厭わず、心を許せる他者も、自分自身への楽しみも、不要とする。
こうなると、富というものの、奴隷の一生でしかない。
強欲も過ぎると、哀しさと空虚さを感じる。