笠女郎が家持に寄せる歌(18)夕されば 物思まさる 見し人の
夕されば 物思まさる 見し人の 言問ふ姿 面影にして
(万葉集巻4-602)
夕暮れになると物思いがいっそう募ります。
お逢いした貴方の、話しかけてきた時の姿が、面影に浮かんで来るのです。
今日もまた逢うことができないのだろうか。
夕暮れを見つめながら、笠女郎の心に浮かぶのは、かつて逢った時の家持の姿、愛しい言葉なのだろう。
ますます、思いはつのるけれど、ただ、それだけ。
何も、恋が実る兆しがない。
あなたは、この美しい夕暮れの時、どこで、誰といるの?
私のところには来ないの?
かつての面影と言葉だけでは、この美しい夕暮れは辛すぎる。
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