第28話 十二日、
(行程) 室津到着
(原文)
十二日、雨降らず。文時(ふむとき)、是望(これもち)が船の遅れたりし。
奈良志津(ならしつ)より室津に来(き)ぬ。
※奈良志津(ならしつ)
港としては現存しない。「奈良師」の地名だけが残る。
奈良志津の西方、岩戸、奈良師海岸は海亀に生育地等保護区指定されている。
海亀が夜間上陸し、散乱する場所としても有名。
(舞夢訳)
十二日になりました。
雨は降っていません。
文時(ふむとき)、是望(これもち)の乗った船が、遅れていたのですが、ようやく奈良志津から室津に到着しました。
※文時(ふむとき)、是望(これもち)の乗った船が、遅れていた理由として、土佐での最後の荷物になる亀甲の調達を行っていたためとの説がある。
海亀の甲羅を焼いて、吉凶を占うための必需品であり、土佐から朝廷への献上品であった。