維摩VS文殊菩薩(2)
文殊菩薩が見舞いに来たのを見て、維摩は言った。
「ようこそ、文殊菩薩」
「あなたがここに来られたのは、来ないということではなくて『来ているということ』であって、私があなたを見ないということではなくて『見ているということ』なのですね」
実に難解な問いかけである。
「来ない」と「来ている」
「見ない」と「見ている」
常識的には、対立した概念になる。
しかし、維摩の思想の根本は、空の思想であり、「対立概念」などは、そもそも存在しない(不二)というもの。
※不二:対立していて二元的に見える事柄も、絶対的な立場から見ると対立がなく一つのものであるというもの。
要するに、維摩は、文殊菩薩に対して、「空の思想の説明をせよ」と求めていることになる。
※維摩VS文殊菩薩(3)に続く。