SAINT LAURENT・・・70年代を切り取る

観たのは結構前のこと。映画とかドラマとか・・・DVDを観てばかりだから下書きに放り込んだままのが増加の一途を辿っている。もやもやする現実から逃れる為に観ることもあるからわざわざ記録するまでもない作品もたくさん観た。本もそうかな(あくまでもわたし的には・・ということだけど)これは一応書き留めておくことにする。
これは以前に観た「イヴ・サン・ローラン」とは全く趣を異にする作品だ。
サン・ローランを描くというよりも、1970年代がどのような時代だったのか、サンローランを通して映し出しているという印象を受けた。その10年間はイヴ・サン・ローランにとって栄光からどん底までの浮き沈みが最も激しい時期だったし、社会も不安定で若者たちの心も彷徨っていたと思う。近年70年代風ファッションが目に留まるようになったのは、社会的な背景に何やら共通する部分があるのかもしれないね。
キャストは豪華。ギャスパー・ウリエルとヘルムート・バーガーがイヴを。ベルジュはジェレミー・レニエ。ルルはレア・セデュが素敵だったし、ジャック役のルイ・ガレルは迫力だった。
美しいドレスはサンローランらしく新たに作成されたものだというからちょっと驚いた。財団公認じゃないからかなぁ。それはそれで驚嘆する。
画面を縦に割って、リアル70年代の映像を組み合わせているあたりは、「24」ぽいかな。監督がこの作品をどうつくり上げようとしているかが感じられる。
細切れに綴っているが、評価されるべき作品だと思う。
でも、わたしは「イヴ・サン・ローラン」の方が好きだった。イヴとピエール・ベルジュの関係について深みのある心理描写が素晴らしかったからだ。美しく描きすぎというか、ピエール・ベルジュの幻想や思い入れが強かったせいかもしれないが。
わたしは美しいものが好きだから。
この映画では、イヴのスキャンダラスな面がこれでもかと描かれていて、悲惨さに苦しくなった。麻薬と性の享楽に溺れていく様は痛々しい。