「郵便配達は二度ベルを鳴らす」を観るはずだった・・・
イタリア・ネオレアリズモ時代のヴィスコンティ作品を観たかったのでタイトルだけで飛びついて、大失敗。
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」は三本もあったんだ~!!!
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」は原題「The Postman Always Rings Twice」1934年アメリカで出版されたジェームズ・ケインの小説だ。ジャンルはサスペンス、ミステリー、ハードボイルド・・・みたいな感じ。わたしは読んだことがないけど、翻訳が6回!という人気小説らしい。
なんと7回映画化されたという情報もあったが、DVD等で見つかったのは次の3本だ。
①1942年制作、ルキノ・ヴィスコンティ監督「Ossessione」(イタリア語で妄執)
②1946年公開、テイ・ガーネット監督
③1981年公開、ボブ・ラフェルソン監督
それなのに・・・おバカなわたしは、「鑑賞困難なヴィスコンティ作品を運よく見つけた!」と勘違いしていたのだ。
再生してみて・・・ん?なんでライオンが吠えているんだ!え?アメリカ英語が飛び交っている。・・・
なんと、わたしが観たのは1981年公開の作品だった。
※真っ暗からスタートだけど、一応予告動画
この妖艶で寂しげな美女になんとなく見覚えがあった。それもそのはず、大好きで観ていた「アメリカン・ホラー・ストーリー」の最初の方のシーズンでレギュラーだったジェシカ・ラングの若かりし頃だった。「アメリカン・ホラー・ストーリー」はシーズン1がお気に入りだった。タイトルバックが滅茶苦茶怖くて、ドキドキしながら観ていた。登場人物もそれぞれ個性が際立って魅力的だったねぇ。
ついでにこちらの動画にも飛んでしまった・・・。
やはり素敵だ♡ジェシカ・ラングは隣の怪しいおばさま。存在感あるなぁ。
「アメリカン・ホラー・ストーリー」について書き始めるときりがないけど、横道なので割愛。
つまり、ジェシカ・ラングが印象に残る女優だということだ。
本命のはずだったルキノ・ヴィスコンティ監督の方は鑑賞できなかったし、名前だけは聞いたことがある「ラナ・ターナー」が出演している方も観ていないけれど、多分この1981年版が一番よくできているのではないかと予想している。
原作が書かれたのは大恐慌後のアメリカで、(実際の事件をもとに書かれたそうだ)社会は暗澹とし、不景気のどん底だった。24歳の(とても24歳には見えないけど)フランクは失業者。若者が仕事に就けない時代だ。ガソリンスタンド経営者のニックはギリシャ系移民で中年のでっぷりとした男。妻コーラはニックと不釣り合いな若くて妖艶な美女。原作の情報によると、コーラは女優を目指して田舎から出てきたが、夢破れてニックの妻となったのだ。
未来に夢を持てない二人が惹かれあい不倫関係となる。そして二人は共謀してニック殺害を企てる。
どうしようもない日々の生活から抜け出すための、細くて危ういクモの糸みたいなものにすがった二人なんだよね。でも、それはお釈迦様が垂らした糸なんかではない。もちろんGodでもない。
なんか救われないラストだったけど、馬鹿な二人がとても愛おしく感じられた。