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【ナゾナルジオグラフィック】ナゾマイマイはヤドカリ生活なのか

 今月、糸野大学変梃生物研究グループ(代表:ノズィー教授)の発表によって、糸島半島で複数タイプのナゾマイマイが同所的に生息していることが明らかになった。

【写真1】新しく見つかったタイプのナゾマイマイの殻は、いずれも海産貝類の殻によく似ていた。この個体はアマガイの殻によく似た殻を持っている。(写真提供:糸野大学変梃生物研究グループ)

 ナゾマイマイ(Confictura itoshimaensis)は、福岡県西部の糸島半島に生息するカタツムリの一種である。なかでも、強い磁力を帯びた亜種、ヒッツキナゾマイマイが、糸島を拠点に全国へ分布を広げていることでよく知られている。

 今回発見された個体群には、アマガイやレイシガイなど、さまざまな海産貝類によく似た殻をもつ、新しいタイプのナゾマイマイが含まれていた(写真1)。これまで知られていたナゾマイマイはキサゴによく似た殻をもつタイプだけだったことから、この事実はナゾマイマイ研究者の間で衝撃を持って受け止められている(写真2)。

 これはナゾマイマイが自ら殻を作らずに、ヤドカリのように海産貝類の殻を利用しているという「ヤドカリ説」を裏付けるものだと、今回の研究代表者であるノズィー教授は語る。

「これまで、ナゾマイマイはキサゴにそっくりな殻を自ら作り出しているものと長い間信じられてきました。私たちの今回の発見は、ナゾマイマイが自ら殻を作っておらず、さまざまな海産貝類の殻をヤドカリのように利用している証拠の1つだと考えています」

 殻を持たないナゾマイマイが発見されないことや、殻から軟体部を引っ張り出すとちぎれて死んでしまうことから、これまでヤドカリ説には否定的な研究者が多かった。今回の発表でヤドカリ説は一躍脚光を浴びている。

【写真2】これまでも知られていた一般的なナゾマイマイ。海産貝類のキサゴの殻によく似ている。(写真提供:糸野大学変梃生物研究グループ)

 とはいえ、これもナゾマイマイがいろいろな海産貝類に擬態した結果とも考えられないだろうか。ノズィー教授はその可能性にも否定的だ。

「アマガイのような殻を持つ個体もキサゴのような殻を持つ個体も、遺伝子はほぼ同じです。同一種と言えるでしょう。ナゾマイマイという1種の生物が、複数タイプの殻にこれほどそっくりに擬態できるとは考えられません。もしかするとナゾマイマイは、孵化してすぐに海産貝類の殻にすみつき、殻に癒着しながら成長し、次第に殻を自分のものにしてしまうのかもしれません」

 近い将来、ナゾマイマイの大きな謎の一つが解き明かされるかもしれない。

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※ナゾマイマイは架空の生物であり、マイマイ計画が販売する手作りマグネットです。

糸島くらし×ここのきさんや、マイマイ計画の出店するイベントにて販売しています。

※今週末の10月24,25日には、九州クリエイターズマーケットに出展します。

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