【ココロ活】A Moment to Realize the Dream
認められない哀しさに打ち勝ち、仲間との絆を深めていった者たちが、長い時間をかけて夢を叶える。
これは、まさに勇者の物語だ。
それを現実で目にする機会があるとは、夢にも思わなかった。
勇者の名はリアルアキバボーイズ(RAB)。
コミカルなアニソンをバックに、高レベルなブレイクダンスで踊るギャップがRABの魅力だ。
だが、結成後の2008年のニコニコ大会議でのパフォーマンスに対する観客の反応は、冷ややかだったという。
さらに追い打ちをかけるように、ダンスの大御所からその在り方を批判され、RABとしての活動を1年休止している。
それでも彼らは各自の道を突き進み、チャンスを掴む。
休止から2年後に、テレビ出演のオファーが舞い込み、トントン拍子で有名声優とのコラボユニットでメジャーデビューを果たすことになるのだ。
この怒涛の展開は、まだ20代後半だった彼らの予想を超えていただろう。
ニコニコ動画でのRABとしての配信開始は、コラボした声優との知名度の差を埋めるためのようだ。
しかし、出演したテレビ番組の放送終了もあり、ユニットは5年で幕を閉じる。
そして、動画配信とライブという現在の形に近いRABの活動を続けることになった。
RABを知ったのは、ほんの1年前のことであり、この辺の経緯は動画配信やファンブックから得た知識に過ぎない。
彼らの夢の始まりは、2016年に約150人のファンの前での突然の発表からだ。
RAB自らのアニメ化を目指し、約1万人を収容できる日本武道館で公演することを宣言したのである。
しかし、武道館での単独ライブは、人気歌手でも容易には実現できない大舞台。
発表当時、彼ら自身も「このくらいぶち上げなくちゃ」と意気込んで掲げた目標だったのかもしれない。
実際、何年もの間、観客数1000人の壁を越えられなかったそうだ。
転機は、4年前に3名、昨年1名の1〜2世代若い新メンバーを迎えた時だと言えよう。
ブレイクダンスだけでなく、タットやヒップホップなどが加わることでパフォーマンスの幅も広がり、チームの表現力が向上するとともに、ファン層も拡大していったのだ。
そして、半年前の4月公演の最後に、メンバーにもサプライズで武道館公演が発表され、保護者(RABのファン名称)全員が喜びの涙を流した。
その場に居合わせたことは、幸運以外の何ものでもない。
この長いようで短い半年の間、RABは動画配信サイトやフリーライブなどで、武道館公演への熱意と感謝を伝え続けた。
努力の甲斐もあって、チケットは見事に完売。
いよいよ、2024年10月4日(金)の武道館ソロライブを迎えることとなった。
「ただ応援して現地に行くだけ」と思っていたが、推しの大きな夢が実現する日が近づくにつれ、思いもよらない緊張や不安が募る。
ライブの一週間前には、「風邪をひいて行けなくなったらどうしよう」「推しに急なアクシデントが起こったらどうしよう」などと、不安と心配で胸がいっぱいになっていた。
それだけに、当日の朝、意外とすっきりと目覚めたことは驚きだ。
会場に早めに到着すると、すでに大勢の保護者たちで賑わっている。
長蛇の列ができていたグッズ販売ブースでは、限定Tシャツやタオル、キーホルダーなどが飛ぶように売れていく。
また、保護者同士で挨拶したり、手作りの応援グッズを見せ合ったりと、祭りのような熱気に包まれているようだった。
ライブの始まりは、Queenの「We Will Rock You」に合わせて、巨大なスクリーンに映し出されたリアルアキバボーイズ日本武道館のロゴ映像からだった。
そこからは、リアルアキババンドによる生演奏と生歌に合わせた怒涛のダンスパフォーマンスで、保護者を一気に引き込んだ。
その後も、ブレイクダンスを中心に、タットダンスやアクロバットを取り入れた多彩なパフォーマンスが続く。
ゲストとして登場したRABとの関係が深い歌手のオーイシマサヨシさんとのコラボもあり、会場のボルテージは最高潮に達した。
後半、踊り終えた後で、新メンバー4人への感謝が述べられ、オリジナルメンバー5人だけが舞台に立った。
そして保護者に向けて「今この瞬間だけ、5人でこの景色を見る時間をもらってもいいですか」と問いかけ、その場をかみしめる。
夢を叶えたステージの上で、耐えきれずに涙を流すムラトミさんと、それを支えるメンバーたちの姿は、まるでアニメの勇者のように光り輝いていた。
仲間との絆を信じ、諦めずに続けてきたからこその喜びの涙なのだろう。
その場に立ち会えたことが誇らしく、心の奥深くまで揺さぶられる思いだった。
あの瞬間を思い出すたび、今でも目頭が熱くなる。
その後、RABの創始者チャカさんがステージに加わり、オリジナルメンバー6人での「全力バタンキュー」が始まった。
そして、RABフルメンバー10人による「踊ってみた」は圧巻そのものだった。
いつもは朗らかなムラトミさんが強い意思で語ったMCのように、武道館以上のもっと大きなステージを目指す彼らを、これからも応援し続けたい。
彼らの夢が、もっともっと強い光となることを信じて。
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視聴は2024年10月15日(火)23:59まで(購入は同日20:00まで)
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