タットと水星の魔女
タットというダンスをご存知だろうか。アクロバティックなブレイクダンスとは異なり、腕や手首、指先をパズルのようにリズミカルに組み合わせて、燃え盛る炎や咲き誇る花など、多彩な表現を可能にするダンススタイルだ。
タットの中でも、体全体を使うフルボディタットは、人間の動きの限界に挑戦するという点で、ブレイクダンスとの共通性があり目を惹く。一方で、通常のタットはブレイクダンスなどと併用されることで、その表現の幅を拡げるものと思い込んでいた。
だが、今回紹介する「水星の魔女」の踊ってみた動画におけるタットは、それまでの自分の見識の浅さを吹き飛ばすものだった。この中での表現の主体は、あくまでも多彩なタットダンスであり、ブレイクダンスやアクロバットは、それを補う位置付けだったのだ。
デュオで行うタットダンスで、ダイブ、未来視、操り人形、コックピットでの操縦、呪縛からの解放、未来チェンジ、などの歌詞やアニメのオープニング映像に合わせた数々のイメージを見事に演出している。初見ではその全てには気づけなかったのだが、回を重ねてそれに気づいた瞬間、アニソンで踊るRAB(リアルアキバボーイズ)のブレイクダンスを初めて見た時の感動が蘇った。
タットダンスは単なるダンススタイルではなく、演者の創造力次第で何にでも変化可能なプラットフォームだったのだ。音楽やイメージ表現において、無限の可能性を秘めている。
この動画の若きダンサーは、ブレイクダンスをメインとしないRABの次世代のメンバーであり、独特な表現形式の背景には、そのことが影響しているのかもしれない。
メンバーの多様性によるスタイルの変化が、今後のRABのパフォーマンスにおいて、どのような花を咲かせるのか、期待にワクワクが止まらない。
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