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建築ツアーを定着させたい【まいまいの目指すもの⑩】

■建築ツアーを定着させたい

まち歩き事業をスタートさせてから13年が経った。3年前からは、京都モダン建築祭など、建築公開の大規模イベントにも携わるようになった。まいまい京都を設立した2011年に比べれば、ガイドさんとともに街を楽しむ「まち歩きツアー」の面白さは少しずつ認知されてきたように思う。

次の夢は、さまざまな建築に「建築ツアー」を定着させることだ。たとえば京都市内の魅力的な建築で週1回、定期的にガイドツアーが実施されている状態をつくってみたい。

■「建築」を旅の目的に

目指すのは、建築を楽しむまちを、文化を、人をつくること。野望としては、建築を旅やエンタメの一分野として確立させたい。温泉に行く、映画を見に行く、グルメを食べに行く......といったレジャーの選択肢の中に「建築を見に行く」が並び立つ未来を想像する。

多くの人が建築を楽しむようになれば、建築文化はどんどん豊かになる。いま日本ではグルメやマンガを楽しむ人が多い。それで消費者の目が肥え、日本独自の食文化やマンガ文化が発展した。海外でもファンが増え日本を訪れる理由になった。建築だって好きな人が増えれば増えるほど、町並みはきっと豊かになる。良きものは残り、これから生まれるものも格好良くなる。そうやって都市の魅力が向上していく。そこに住む人も訪れる人も、ますます楽しめるようになる。

世の中では、「あの建物を見たくて、あの街に行く」という旅行はまだ少数派かも知れないが、京都モダン建築祭や東京建築祭の盛り上がりを見ていると、建築を楽しむ文化の可能性を感じずにはいられない。

■「建築ガイド」を増やしたい

建築ツアーを定着させたい。そのためには、建築の楽しさを伝える人を増やしていきたい。ガイドを育てるということも、新しい挑戦だがやってみたいと思っている。

まいまい京都/東京では、これまで、ガイドさんを研修して育てるということはしてこなかった。でも、「建築」というテーマであれば、面白いガイドさんを増やせるかもしれないのだ。

まいまいが大事にしてきたのは、「目の前にあるモノを読み解く」ということだ。不自然にカーブする道の曲がり方を見て、かつて何だったかを想像する。身近な河原に転がっている石ころを見て、この大地が生まれた何億年もの物語に思いを馳せる。
いつだって、まいまいツアーは、目の前の「モノ」を読んでいる。「読み解く」「楽しむ」「好きになる」、この連鎖がまいまいツアーの醍醐味なのだ。「モノの力」と「読み解く力」の掛け算によって、その対象の楽しみ方は無限大になる。

だとすれば、建築ツアーはもってこい。このタイルは、この階段は、この窓のカタチは……、と読むべきモノにあふれている。建築は、読んでほしそうにじっとこちらを見ている。「モノの力」と「読み解く力」。その相乗効果が大いに発揮されるのが「建築ツアー」なのだ。

■建築文化をもっと豊かに

建築をもっと楽しめるようになれば、日本の建築文化は豊かになる。いま、この試みに力を貸してくれる人を探しているところだ。

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