トキ消費から見る まち歩きという“祭り”【まいまい京都のめざすもの③】
コト消費からトキ消費へ
「トキ消費」という言葉があるという。時間を共有することに価値をおいた消費行動を指す概念だ。
「モノより思い出。」というキャッチコピーが流行ったのは、たしか1999年。そのころから、生活者が求めるのは「商品」ではなく「体験」にシフトしたのだと言われている。「モノ消費からコト消費へ」という表現をよく聞いた。
近年では、「コト消費」が「トキ消費」へと変わっているという。体験に価値を置くのは同じであっても、その時、その場でしか味わえない盛り上がりが求められている。そう考えると、たしかにジブリ映画ジブリ映画「天空の城ラピュタ」がテレビ放映されたとき、Twitterでタイミングをあわせて「バルス!」と投稿することも、ハロウィン期間に仮装してはしゃぐ人が多いのも説明できる。期間限定のコラボカフェにファンが殺到するのも、近年のワールドカップやWBCで日本中が盛り上がるのも同じことだろう。「祭り」的な時間を共有することが、最近のトレンドなのだ。
まち歩きという小さな“祭り”
まいまいのツアーも「トキ消費」と重なるところがある。博報堂によるとトキ消費の特徴のひとつには、時間や場所が限定されていて、同じ体験が二度とできないという「非再現性・限定性」があるという。まち歩きは、同じ体験を二度とできない。まちは天気が変わるだけ、時間帯が変わるだけでも表情を変える。同じエリアであっても、ガイドが変われば見えてくるポイントは違ってくる。
それに加えて、まいまいツアーは参加者の顔ぶれが変わると、ガイドさんの話も変化するから面白い。ガイドさんは、決められた内容を繰り返し話しているわけではないのだ。参加者からの質問によって、ガイドさんは案内の仕方を変えたり、ふだんは盛り込まない情報を伝えたりする。あるときは、参加者が疑問に思ったことをガイドさんがいっしょに考え、その場で新たな発見が生まれることもある。ガイドさんが口を揃えて言うのは「まいまいの参加者さんは前のめり」ということ。
トキ消費のふたつめの特徴には「参加性」というものがあるらしい。サービス提供者と消費者とがはっきりと分かれるのではなく、参加者が主体的に参加することが価値になる。まいまいツアーという2時間のまち歩きも、参加者、ガイド、そしてスタッフからなる一座が渾然一体となってともに作りあげていく小さな“祭り”なのである。
※参考
「コト消費」では説明できない。博報堂生活総研が新たに提案する「トキ消費」とは? https://www.hakuhodo.co.jp/magazine/42742/
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