『世界は「日記」でできている』の「はじめに」を公開
以下は『世界は「日記」でできている』の「はじめに」を公開したものです。
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日記を書いていない人はいない。
上の文章を読んだとき、あなたはどう思うでしょうか。
「いやいや、そんなことないでしょ」
そう思われるかもしれません。そうですね、わたしもいきなり読んだらそう思います。
しかし、本書ではあえてそう言い切ります。この本はひとりひとりが書く日記から始まり、らせんを昇るように視点を上げていきます。そのなかで「日記」について様々なことを知ることができるでしょう。冒頭の文章にも納得していただけるはずです。
まず日記とは何でしょう?
わたしにとって日記は「自分の感情、思考、行動が残されているもの」です。つまり通常の日記と考えられるものよりも幅広いものを含んでいます。
例を挙げてみましょう。
わたしにとって家族の写真は「とても」日記です。写真の中には家族に対しての感情、出かけた場所という行動が含まれているからです。しかし、以下のような買い物メモはわたしにとっては「そこまで」日記ではありません。
・キャベツ
・ピーマン
・お米
・豚肉
こうした買い物はわたしにとっては家事の範疇です。このメモの中には買い物という行動は含まれていますが、感情がそこまで含まれていません。
この違いは何でしょうか?
それはわたしにとって何が大切か、です。大切さは「大切」「大切ではない」できっぱり分けられるものではなく、感情によってグラデーションされています。その感情のグラデーションが日記性の強弱となります。そして、前述した日記の定義に当てはめれば、あなたの感情が含まれていれば強弱の差はあれど日記なのです。
しかし、それがどのぐらい日記として強いかは人それぞれです。買い物好きな人にとって買い物メモは強い日記となるかもしれません。買い物メモをきっかけとして、「この買い物をした日は、雨が降っていて、買った服が濡れないか心配だったんだよね。そうそう、帰りにスーパーで買い物をして夕ご飯のチャーハン用の材料を買ったんだった」のように思い出がよみがえる人もいるでしょう。
人それぞれに日記となるものがあります。買い物メモ以外にもTwitterやFacebook、手帳のメモ、カレンダーの予定表、ネタ帳なども日記となり得ます。
写真や家計簿、本棚にある小説や実用書、自分の体に残っている傷跡もそうです。
歴史を振り返れば、ピラミッド、ナスカの地上絵、ラスコーの洞窟画も誰かにとっての日記となります。
つまり、全ての人が「日記」をすでに書いているはずなのです。毎日書いているかはさておいて。あとはすでに自分が書いている日記に気づき、どう付き合っていくか。そこが大事なのです。
日記を活用するもよし、楽しむもよし。自分を深める、世界を広げる。様々な可能性があります。
買い物メモが日記となる人でも、買い物メモだけで十分な日記となるとは限りません。そこで買い物メモの前後に何をしていたかを書いてみます。そうすることでさらに強い日記となるでしょう。なぜこの買い物をしたのか、そのときどんなことを思ったか、そんな考えを書き加えるのも良いですね。
わたしにとって買い物メモだけでは弱い日記です。しかし、その前後に何をしていたのか。たとえば夕ご飯の買い物を頼まれたのか、それとも誕生日の料理の材料をみんなで買いに行ったのか。そんな文脈が分かることで、わたしにとっても買い物メモは強い日記となります。
そして日記をつけ続けていくと、日記を通して自分を知ることができます。それは、就職活動での自己分析などのように、即席で自分を知る行為ではありません。長い月日をかけて自分と付き合っていく中で少しずつ自分を知る行為です。
それは「自分を編み」、「人生を取り戻す」ことにつながります。しかし、日記は継続が大事ではありますが、継続しなければ楽しめないわけではありません。
1章と2章では日記を書くという行為のポイント、そして継続しなくても日記には効果があるということを見ていきます。
3章では日記大全と題して、20個の日記の技法を「繋げる」「向かう」「固める」「揺さぶる」「広げる」の5つの軸でご紹介します。
4章では21番目の技法となる自分だけの日記のつくり方、そして日記を書く時の注意点などについて書いています。
5章では日記で自分を編む効果、そして日記で人生が取り戻せる理由を、6章では自分が書いている日記のその先にあるもの、「世界は日記でできている」ことについて触れています。
最後に簡単に自己紹介を。ブログやTwitter、極まれに雑誌やテレビで日記について発信している「ゆうびんや」と申します。日夜日記について考えている日記フリークです。
では、さっそく日記について知る旅にでかけましょう。
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