『木蓮の涙』〜3月の想い〜
2023年の3月に、福島県双葉郡に咲き誇る木蓮の花を見て、Facebookに書いた文章です。
また最近、この地域が騒がしく、心がざわざわしているので、書き写してみようと思いました。
2023年3月30日
春になると、桜だけでなくたくさんの花が一斉に咲き出す。木蓮もそのひとつ。大きな幹と真っ白で大きな花びらは遠くから見ても圧倒的な存在感を放つ。
私たちアラフォー・アラフィフ世代が木蓮で思い出す歌は、スターダスト⭐︎レビューの「木蘭の涙」一択だ(私調べ)。
歌詞を言葉通り受け取ると、木蓮の時期に亡くなってしまった愛しい人を想う歌である。
↓歌詞はこちら↓
https://www.uta-net.com/song/4532/
ただ、まだ帰還困難区域が残り、家も解体してしまった庭に立つ木蓮の花を見ながらこの歌を口ずさむと、それは土地に住んでいた、避難せざるを得なかった人たちと残された木蓮の木の関係のようにも思え、また違った聴こえ方がして来て胸がギュッと締め付けられる。
かの家に住んでいた人からすれば、人ん家の前で勝手にセンチメンタルにならないで欲しいということにもなろうが、この町に住むと決め、毎日この町の季節と景観の移り変わりを見続けている身としては、そのように思ってしまうのも許して欲しい。変わらない木蓮の木と、劇的に変わっていく町の景色と、そこに対して何もできない自分と。
だからせめてこの時期は、こんなに美しい花々が今年も咲いてるよ!見に来て!って言い続ける。そうしたら、美しい花とともに、今のこの町の景色も見てもらえるから。どう思うか、なにを持ち帰るかはその人次第。でも来ないとわからない、この空気感を体感してもらえるだけでいい。
いいなと思ったら応援しよう!
ご支援いただいた分は、感謝を込めて福島県浜通りへの取材費に充てさせていただきます。