ローカルライターのふたば暮らし 6月18日の日記
横浜から福島県浜通りに移住して9年半、
双葉町に引っ越して、2ヶ月。
双葉町に暮らしながら、双葉郡をはじめとする浜通りのあちこちに出かけるローカルライターの私の、なんということのない日常を綴ります。
2023年6月18日(日)
週に何回か行ってるホテルでのアルバイトが7時からなので、アルバイトが無い日も7時前には目が覚める。思わぬ副産物で生活リズムが整ってラッキー!
午前中は町営住宅の集会所で、自治会に準ずる組織をつくるための準備会。
双葉町は、原発被災地の中で1番最後、昨年2022年8月末に震災から11年半ぶりに帰還困難区域が一部解除されて、居住が出来るようになった。
この町営住宅は10月から入居が開始され、現在30世帯くらいが住んでいる。
そのほかにも、ご自宅を修繕されたり、自宅とは別に家を借りたりして帰還された人、仕事のために賃貸などで暮らしている人もいて、現在の双葉町内の居住人口は約70人ほどと発表されている。
町営住宅に住んでいれば、ある程度の情報は入ってくるけれど(役場やまちづくり会社などがお知らせをポスティングしてくれる)、それでもご近所付き合いが自然に生まれる訳でもない(私みたいに出かけがちだと特に)し、ご年配の方は外に出るのが大変な人もいる。
町営住宅以外に住んでいる人は、役場は把握しているものの、個人情報の関係で公表出来ないから、なかなか情報が届かない。つながれない。
町営住宅の集会所を週に1回解放しているので、そこに来てくれたり、誰かしらとつながっていれば口コミで情報は届くけど、なかなか難しい。
だからこそ、既存の行政区(地区)単位ではなく、新しい、現在居住している人たちがゆるやかにつながる組織的なものがやっぱり必要だよねと、町の誘導もありながらかなり自主的に準備会が立ち上がった。
これはひとつは危機感からだと思っていて、もともと7000人弱だった双葉町に、今戻ったり移住したりで居住している人が70人。元の人口の1パーセントだ。99パーセントは双葉町外に住んでいる。どちらに支援や施策を組まれるかは明らかだ。
そうであるなら、顔の見える距離感、人数のうちになんとかお互いにつながっておかなくてはと思うのは道理で、準備会に集まった人たちの熱量はとても高い。なんとかしなくてはとみんな思ってるからだ。
スーパーもコンビニもなくて、身寄りも地縁も無い状態で今の双葉町に暮らす人たちはそれなりに覚悟を決めている人が多い。それは「双葉町をなんとか良い町にしたい」ということ。
もうひとつは、吊り橋理論もあると思う。本来なら大したことない事象でも、緊急時にはすごく見える的な(意訳)。災害ユートピア的な部分もあるかもしれない。要は、今の双葉町は震災と原発事故から12年経っていても「緊急事態」の状態なのだ(人口の1パーセントしか居住しておらず、町の面積の85パーセントは未だに帰還困難区域なのだから)。
まぁそれはともかく、どちらにしてもそういう前向きな動きが起きているのは悪いことではもちろんなく、会の発足にあたっての話し合いもいい意味で白熱し、極めて民主主義に近い形で話が進んでいき、仕事柄書記を努めた私もその場にいることが出来てとてもうれしかった。出来てからが大変なのは理解していても、なにかが生まれる瞬間に立ち会うのは刺激的だ。
朝から2時間以上に渡る話し合いのあとは、部屋に戻って洗濯物を干してから、大好きな川内村の古民家カフェ秋風舎でイベントがあるのでいそいそお出かけ。
秋風舎はこんなところ〜♪
秋風舎の店主・志賀風夏ちゃんにはオープン前から取材させてもらってて、今は準常連として通っております。
オープン前に取材させてもらった記事はこちら↓
初夏の川内村は、緑がキラキラしていて、村の名物のひとつ、モリアオガエルが卵を産みつけている時期でもあり、秋風舎の庭にも卵塊がいくつも。
この日は通常営業のほかに、福島県喜多方市と郡山市の団体とコラボしたメニューと、食材、スイーツ、器や小物の販売もあり、いつも素敵な秋風舎がよりパワーアップしていました。
入った瞬間、うわー素敵!とテンション上がったのですが、更に驚いたのは、満席の店内に来ていたお客さま、大体知ってる人たち(笑)。
「ここにいる人、ほぼみんな山根さんの知り合いですね〜!」と店主の風夏ちゃんにも笑いながら招かれる。誰か知り合いいるとは思ったけどこんなにいるとは。おかげさまで満席だったけど、相席させてもらえました!
居合わせた、相双地域のメディア制作の方と、友人のカメラマンをおつなぎ出来たり、友人のお子さんとおしゃべり出来たり、こういう偶然の出会いからつながりって生まれていくもので、私のネットワークも情報収集も全てそこから生まれているから、出かけて行くことって本当に大事でかけがえのないことだなと思います。
出かける前に、横浜時代の飲み仲間から翌日いわきで仕事で、前乗りするから飲みませんかとお誘いが来ていたので、15時頃には退散。
飲みに行くためには車を置いて行かなくてはならないので小1時間かけて川内から双葉へ。
午前中に頭使ったのと、午後のたくさんの人との出会いで少し眠気が出て来てたので、お風呂とサウナで解消しようと、先日オープンしたばかりの「さくらの里双葉」の温浴施設へ。
双葉の湯は、現在のところ定休日は無しで、
13時〜20時半(最終入場20時)、料金は一般700円、小学生350円、小学生以下は無料です。
人口温泉で、岡山県の光明石という石を入れることで無色無臭になるのだとか。確かに塩素の匂いがしないのはうれしい。
最近サウナに目覚めた私としては、サウナが新しいのもうれしい。水風呂も手足が広々伸ばせたので、快適〜!
人口温泉とサウナで、眠気と疲労回復。
さっぱりしたあと、家に車を置いて、電車でいわきへGO!
団地内で住民の方と会ってご挨拶。こうしてつながっていく、普通の関係がいい。
常磐線内で、6/17分のnoteを書く。1時間ほどの乗車時間で書き上げられたから、移動時間の有効活用だなと感じたり。
いわき駅には18時過ぎに着いて、どこで飲もうかなとウロウロ。いわき駅周辺でも日曜の夜は営業している店が少なく、老舗の焼き鳥屋「福住 福庵」へ。
私は震災後、横浜でのボランティア活動からつながった関内のまちづくり会社に勤務していたのですが、そこで出会ったのがお酒大好きな地元で働くお兄さん、お姉さんたちだった。
皆さん、コンサルやデザイナーなど一流のプロでありながら、お酒の飲み方をはじめ、私にたくさんのことを教えてくれた。東北出身だったり東北で仕事をしている人たちだったので、震災ボランティアをしている私にとって本当に頼りになる人たちで、福島に移住した今でも可愛がってもらってる。
そんな中で、今日の自治会的組織立ち上げの話をしたら、「山根は地元の横浜にいたら自治会とか参加しなかったクチでしょ?それが今、積極的に関わっていってるの、面白いね」と素直な感想をくれた。私も本当にそう思う。
横浜には団体組織やライターなど、プレイヤーがたくさんたくさんいる。だから私が積極的に関わらなくても市民活動や情報発信は回っていくと思ってしまう。
でも福島県双葉郡ではそうはいかない。とにかくマンパワーが少な過ぎるので、よそ者である私であっても、必要とされる場面があるし、こちらから積極的に関わっていかないとつながれない、つながれないと情報が入らないから置いて行かれてしまう。セーフティネットとして、積極的につながって行かないと生きていけないところがあるのだ。
そんなことを再確認しながら、原ノ町駅までの常磐線の終電(20:19!)に揺られて帰路に着いたのでした。お家が駅前なの、こういう時は最高に有難いな。(もう少し終電が遅いともっと有難いんだけどね)