Ray Blanchard に再注目!
https://www.youtube.com/watch?v=WLN38t_eOjk
(その昔、伝説だったRay Blanchardがこんなにざっくばらんに語る人だとは思っていませんでした。わたしはもう亡くなってるかと思ってました。 Ray Blanchardのトランスセクシャルの類型論は性自認という言葉を使わないので、ジェンダークリティカルフェミニストが好んで使う理論です。インターネットがなかったのに同じようなことを訴える性同一性障害者の患者と、インターネットがある現在の当事者の違いとは。。。トランスアクティビストなんていなかったころの精神科医がトランスアクティビストをどう思うか?MTF専門だったRayがFTMの二人の質問に答えるのは興味深い。)
(Ray)
1:28
私は1980年にジェンダーアイデンティティークリニックで働き始めました。
当時すでにtranssexualが何種類かあることが知られていてどれが本当のtranssexualかということが議論されてました。MTFに注目しました。FTMは当時も同質なタイプが多いと思われていました。当時の類型学ではMTFをホモセクシャル、ヘテロセクシャル、アセクシャル、バイセクシャルの4っつに分けようとしていたが、わたしは大きく二つに分けた。ホモセクシャルとホモセクシャルではない人の二つに。 子供の時から反対の性自認の兆候が出るホモセクシャルと、そうではなく思春期に反対の性であると自認して興奮するヘテロタイプに。当時もう一つ、フェティスズム異性装でマスターベーションする人の三番目もありました。三番目は人々を誤解させるので、わたしはオートガイネフィリアという概念を作りました。
AGP(オートガイネフィリア)は異性装と、自分が反対の性だと思うことで興奮する広い概念でした。これがヘテロ、アセクシャル、バイセクシャルの三つのサブタイプの共通分母としました。これが異性服装倒錯者と呼ばれていた人にリンクするものです。
わたしがAGPという概念を導入した目的は8歳から14歳で母親のパンティーを履いてオナニーしてそれを元に戻して男の子としてふるまったという体験を持つ人が30年後にペニスを切除して膣を作りたいと言い出すことに橋をかける必要があったからです。女性の下着をつけることによって興奮した過去と、後のライフステージでペニスを除去したいというのは関連性がないことのようですが、”女性であるとに”に興奮していたとすれば説明がつきます。
(女性の下着をつけてマスターベーションしてた男の子が大人になって男性器をとってしまったら動機がなくなって後悔するのでは?)
そう、そこがわたしにとってもパラドックスだったのです。当時女性ホルモンをすればリビドーがなくなり性別違和がなくなるのが異性服装倒錯者で、それでもなくならないのが本当のトランスセクシャルだと診断していた。わたしはそこで性的な動機とはいつも勃起を伴うものだという考えを捨てることにした。人生において性的な動機による行動は、勃起だけでなく、恋愛すること、二人の絆を深めることだから。妻と一緒にいて夫は必ず勃起しなければいけないというわけではない。
AGPはいつも性的興奮しなければいけないというわけではない。動物を見ても深い絆で結ばれたガチョウはいつも交尾していないといけないわけではない。パラドックスに思えたAGPの行動は、エロティックを狭い意味で考えていたことが原因だった。
(AGPの性別違和は物理的な性的興奮から、20年30年たって、愛着へと発展していくものです)
AGPの性別違和はこのように(年を重ねて)発展していくものなので、その点で、ホモセクシャルの性別違和とは全く違います。 AGPが性別適合手術を望むのは30代40代移行です。 70代で手術したMTFもいました。
18:16 ホモセクシャル性別違和は発展していかない性別違和で、思春期までに最大を迎えます。
わたしのクリニックはオンタリオで唯一第三者から手術などの治療費払い戻しの権限があるアセスメントをするクリニックで治療はやっていなかった。
(小児のホモセクシャルの性別違和の精神療法にかかわっていなかった)
もし出来たとすれば症状が軽いAGPの患者に結婚生活や、子供との関係を壊さないように抑制させることだった。
(AGPを他の方法で健康的にまぎらわすことはできるか)
他のエロティックな方法でまぎらわすことはできない。ただ我慢するように教えることはできる。 小児性愛者にもそうしている。非常に危険なSMプレイもそうです。AGPの感覚を消すことは不可能だが、コントロールして我慢しているケースはたくさんある。
23:31(AGPにあたるものが生まれつき女性のFTMにもあるか?)
Charles Moser が生まれつき女性の看護師に、生まれつき男性のAGPに対してわたしが行ったのとと同じ質問、自分を女性だと思うことで性的興奮するか?と聞いたところ、興奮すると答えたというのだ。 わたしはその研究はナンセンスで、欠陥があると思った。その質問の内容はわたしがAGPにしたものとは違っていた。
この欠陥のある研究はトランスアクティビストに利用され、"レイブランチャードはすっぱ抜かれた。信用できない。”と言われた。わたしは平均的な女性にパンツを履いたら濡れるかと聞いた。みんな濡れないと答えた。(AGPとは違う)
トランスアクティビストはAGPの存在を認めたくなかったのだろうが、AGPの歴史はAGPが女性のようではないと言ってるのでもなく、女性そのものだと言っているわけでもない。
わたしは生まれつきの女性にはオートガイネフィリアはないと思う。女性の場合は自分が男性だと思うことで似たことが起こる。わたしはクリニックにいたとき男性が好きなFTMをあまり診なかったが、自分にペニスがあることを思い描いてゲイであることを想像して興奮したというのがわずかにあった。FTMの場合はエロティックなターゲットが自分ではない他のゲイで、AGPの場合は自分自身。
AGPは自分をレズビアンというがそれは二番目。最初は自分自身に興奮する。女性のセクシュアリティは社会的な関係性だけど、男性のは目的のものに方向づけられている。
ゲイになりたというFTM二人に手術を許可して上手く言ったケースがある。すでに男性として生きてて、手術後それぞれ、男性として歩んでいって、男性との性的体験を積んだ。彼らはウブではなかった。
31:51
しかし、最近急速に症状がでる10代の女の子の性別違和は、ゲイになることはカッコいいと思うだけで、これらの子たちは男性として生きることに挑戦したことがなかった。ゲイのパートナーを探すときペニスがないことが大したことだとみなさないゲイを探そうとしたこともなかった。その子たちは陰茎形成なしでゲイのパートナーを見つけること、陰茎形成してもペニスには目利きのゲイの前にはパスしないでパートナーをみつけることがどんなことがわかっていなかった。
33:49
ホモセクシャルとAGPの比率は?
80年代の時点で3分の2はAGPだった。今はもっと多いだろう。
当時はスティグマが強く、本当にAGPの家族は壊れた。だが、スティグマは弱くなったのでAGPは増えた。一方、ホモセクシャルタイプの比率は変わらない。
(AGPは向上しトランスとしてカムアウトし、もはやストレートの白人男性ではなく、疎外された美しいレズビアンになった。笑)
わたしの類型論はROGD(rapid onset gender dysphoria 急発性性別違和)に適用できなかった。しかしそれらのほとんどは、境界性人格障害、適応障害です。
39:20
いったん性別違和が最大になると、ホモセクシャルとAGPのどちらが本物の性別違和かなんて言えない。どちらも本物です。
42:19 ホモセクシャルサブタイプの場合は女っぽい(sissy)男の子または男っぽい(tomboy)女の子としてはじまり、思春期に性自認を正常化できない。何かを発展させたり脱皮していくものではない。他の子のように思春期で変化できない。彼らは小さい時からの振る舞いが思春期になっても残る。
(性自認という言葉は問題があるのでgendered soul で子供のころを語ると、わたし(FTM)の場合は認識の分類エラーだった。うぶなわたしの心にはたくさん男の子っぽい傾向があったので、大人になったら男性に統合されると認識していた。こういう認識エラーはホモセクシャルサブタイプにあると思いますか?)
はい、そういうところがあると思いますが、それを意識して公式化する必要はありません。どんな子供も(自分を)分類するエラーは多少ありますから。性自認という言葉は子供を語るとき便利な言葉です。反対の性を模倣するのを観察するのに使えますから。
しかし性自認という言葉は現在違う意味で使われるようになってしまった。間違って生物学的な意味で使う人も出た。そのためわたしは、本の中で性別違和を語る際、性自認という言葉を使わなくなった。だから性自認という言葉を使わない患者がくる安心する笑
46:23(この40年でいろんなタイプがあるのに一つのトランスという言葉でまとめられてしまったが、あなたはなぜ類型学が大切だとおもうのか?)
第一に類型学は科学のために大事です。将来性別違和の原因がなんなのか解明されたときに類型学は必要になる。脳のどの部分が反対の性にシフトしたかなど。あるトランスセクシャルにはそれが見られたが他のトランスセクシャルには見られなかったというような場合。イデオロギーによって患者を分類することはとても大事になってきます。精神医学的に患者の性自認を研究する際も分類学は必要です。
第二に類型学は予後を予測するのに役立ちます。性別適合手術後の予後など。 研究ではなく臨床的に必要です。このタイプは手術を後悔するかとか、最悪、detransition するかとかがわかる。
(UKでの調査では多くのAGPがタイでSRSして後悔しているという報告があったが。わたしFTMが思うにそれらのAGPはトランスの動機が睾丸(の男性ホルモン)から来ていて、それを取ると動機がなくなるということを知らなかったように見える。睾丸摘出をしたAGPは彼女とセックスができなくなったと嘆いていた。AGPであることを理解せず、ジェンダーイデオロギーによって手術してしまったのです。)
昔は患者が来たら、文字通りセックスを変えることなど魔法のようなことは出来ないとよく説明した。染色体を変えることなどできない。そのことを手術する際、天秤にかける指標とした。患者にホルモンや手術で何が出来て出来ないのかを理解させた。手術の限界がわかっていない患者が来たら悪い兆候だと考えた。
しかし今いったいいくつのジェンダークリニックがそのことに注意を払っているのか (皮肉な笑)
(MRIでtranssexualの脳の違いを調べるのに、性指向を考慮しないでやってても答えがでないとおもうのですが)
その通り! transsexualが均質で同じものとして研究したものはクズです。2021年の段階でもMRIを使っての脳の研究は注意深くスクリーニングをしていないので、信頼のおける研究が出ていない。
55:43(男っぽいレズビアンとFTMtranssexualの境界線がはっきりしないことについて。 ゲイとMTFtranssexualのように違いがない。)
80年代からそうだった。とくにStone Dykesというような男っぽいレズビアンはセックスのときガールフレンドの乳房や女性器を自然に触るのに、ガールフレンドに自分の胸や女性器を触らせない。またはTシャツを着たままやっている。彼女たちは自分はレズビアンというがFTMtranssexualと同じことをしている。自分の胸や女性器を触らせると自分が生物学的に女性だと意識してしまうからだ。
58:56
(レズビアンのサブカルチャーとして男っぽいレズビアンはトランスしなくてもサポートされているが、ゲイサブカルチャーはレズビアンと対称ではない。女っぽいゲイはどうなのか。)
レズビアンは女役と男役にアイデンティファイする傾向があるがゲイはそうでもないように思う。
(あまりにも女っぽいゲイはゲイコミュニティーでパートナーを見つけにくいように見えるが)
1:00
Mike Baileyとの共同研究で、女っぽいゲイは異性愛者の男性のパートナーになろうとして性転換すると書いた。だが見逃しているのは、異性愛者の男性のパートナーになりたいと思うのは、女っぽいゲイだけでなく、他のゲイでもありえるので、異性愛者のパートナーが欲しいということだけで、transsexualの診断はしない。
1:04 サモアの第三の性別について。
サモアなど東洋では男性が女性の服を着て、女性の役割をすることがある。この文化を西洋に持ってくるのは不可能だろう。
これは男っぽいレズビアンが身体的治療をしなくてすんでいるように、
このような文化があれば女っぽいゲイは身体的治療をしなくてすむかもしれない。
1:06(ジェンダークリティカルなコンセプトの性別違和について)
わたしは性別違和を精神障害としている。精神障害というとぞっとするかもしれないが、多くの精神障碍者は普通に暮らしていて、ある分野で飛びぬけている人もいる。わたしは精神障害が狂っているという意味で使ってるのではない。
精神障害としたのは、心理学的に特別な考慮が必要だからです。
わたしに言わせればジェンダークリティカルな人たちは奇妙だ。トランスアクティビストと同じ手法をとっている。(性別違和を)精神疾患ではなく、社会政治的な現象ととらえている。
ジェンダークリティカルな人たちがツイッターでAGPは家父長制やセクシズムやミソジニーの結果だと叫んでいるのはおかしい。
ジェンダークリティカルフェミニストのAGPの理解は間違っている。彼女たちは、AGPを現象と見ていて、原因があることを考えない。
ジェンダークリティカルフェミニストは、夫がAGPの場合、妻は他のセクシズム、ミソジニーと同じ虐待を受けたと考える。わたしはジェンダークリティカルフェミニストは原因と結果を混同していると思う。
AGPが全く女性にとって異質なものだから、ミソジニーなどと一緒にしようとしているだけだ。
1:16 (政治や社会学でtransitionを見ることはあなたの義務ではないと思いますが、下流で起こっていることは、あなたは”お手頃な融通”のtransitionと言いましたが、それは環境によって異なってきて、交渉が必要になります。 臨床的にそれおをどう思うか)
もちろん、わたしたちが手術を許可した人たちがどうなったか病理学的な記述をしたかった。それを完全にやめたわけではなかった。わたしたちが適切にスクリーニングした多くの患者を論文に記述した。もしよければまたやってもいいだろう。
(研究にどんなスクリーニングをしたのか)
1:16 real life test の必要性
わたしたちは二年間反対の性で生きていることを手術の条件としてスクリーニングした。二年間、反対の性で、仕事したり、学校に行ったり、高齢者ならボランティア活動したり。 部屋の中で異性装をしてるだけの人には認めなかった。 どの患者がtranssexualか決めるのに、主観的でなく、客観的な方法をとった。
また、Real life test (RLT)は性別違和の強さを見るものだった。
そのため、パスしているかどうかは関係なく、雇用者に自分が反対の性で生きることを告げ、それが受け入れられているかどうかを見て、性別違和の強さを判断した。
そして二年間精神的に安定して学校や仕事を続けられるか見るのは、transsexualだけのものではない。他の精神疾患がないか見るためのものだった。 これによって術後上手くいかない人をスクリーニングすることができた。
RLTは性別違和の強さを見るものだとされてきて、今まで言わなかったもう一つの理由は、”悪いトランスジェンダリズムに影響されてしまった子”を除外するためのものでした。
1:18 (若い人たちがブランチャードの類型学を知らずに、クイア理論だけでセックスも変えられると信じてしまうことをどう思うか?)
インターネットによって若い人たちが類似の幻想を抱く現象がある。現実を広めるよりトランスセクシュアリズムを宣伝したほうがいいという計算がトランスコミュニティーにあるのではないか?
AGPであることをオープンにしたほうが幸せになれると考える人もいる。そうすれば、手術までしなくてすむから。
疑問なのは一般人のどれだけの人数の人がAGPを受け入れられるかが疑問。 人々はAGPがカムアウトすると、カムアウトしたことは正直でいいと思うけど、正直気持ちが悪いと言うだろう。
1:21(政治が臨床に与える影響)
政治が臨床に這いよって来るなんてもんじゃない、完全に占領された。
最前線の臨床はだいぶ変わった。 昔はよく訓練された精神科医と心理学者がいた。 彼らはこの分野だけを診ているのではなく、いろんな精神疾患を診ていたので、均整がとれている。今はジェンダー専門家という医師がいるか、いったい何の専門というのだ。彼ら他の精神疾患を診たことがない。
(もうあなたのような倫理的な臨床医は診療していない。イデオロギーに占有されてしまうのは、そういう言語によって占有されてしまうからではないか?)
トランスアクティビストは言語の維持に投資している。 賢い人と議論したことだが、違う政治運動、全体主義では言語が制限される。特定のことを考えさせないために、ある言葉の使用を制限させることがある。これが現在起きていることの要素だ。
(若い人がエビデンスに基づいた理論でなく、クイア理論で政治化された話によってトランスだと教えこまれてトランスしてしまう問題。若い人は自分の体験の意味を理解し、長期のメンタルヘルスの結果を知る機会がない。)
異質の集団を把握することはできない。急性の性別違和とか。それをたった一、二回診ただけで、ホルモンを処方し、それでOKだねとしてしまう。私には理解できない。後悔してdetransitioner はもっと増えるだろう。 願わくば元に戻れない手術をしないことです。
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まとめ。
当時厳しいと言われた二年間のRLTは、間違った理論を吹き込まれてトランスしようとしている悪い症例をふるいにかける役割があった。
そのため、性別違和が性同一性障害という精神障害だったころは、有能な精神科医が本当の性同一性障害者のみに手術を許可していたので、後悔してdetransitionする人は少なかった。
AGPも性同一性障害の場合もあって、ホモセクシャルサブタイプが本当の性同一性障害というわけではない。AGPは中年になって手術を希望する場合がある。
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