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そのお店、ちょっとおかしくないですか?

最近、委託販売で手数料プラス場所代取られてどうのこうのみたいな文章をよくスレッズか何かで目にするんですが、かなり搾取が進んでいるというか・・・。ちょっとびっくりです。

そもそも、場所代っていうのはなんでしょうか。

手数料というのはなんなんでしょう?

ほんとにおかしな感じですよね。

私の感覚がおかしいのかもしれない、とあまりにも「委託手数料」、「場所代」みたいなことを頻繁に聞いてると、そう思ってしまいますよね。

小売っていうのは、メーカーから卸価格で仕入れて、そこに販売価格を上乗せして売るのが基本です。

メーカーがだいたいの希望小売価格を提示していますけど、だいたいその価格から40%引いた金額が卸価格です。
違う書き方をすると、だいたい販売価格の60%が卸価格ということになります。
商材によっては、65%とか、70、80%の所も。中には40%という安い所もあります。

小売店はだいたい問屋さんを通して6掛けで商品を仕入れ、そこに40%上乗せして販売しています。
その40%が小売店の取り分です。ここから必要経費が引かれて、残った分がお店の儲けになります。
販売価格は一応メーカーから希望小売価格を提示されていますのでその値段で販売するのが基本ですが売れ残ってしまったり、季節に合わない場合はそこから多少値引きして販売するのが常です。

場所代なんてものは存在しませんし、手数料という感覚で商品を仕入れることもありません。

委託店の場合、委託販売がメインなので小売店は商材を仕入れることはありません。作家さんから委託されて販売しています。
商材の数や、アイテムなどは作家任せであることが多いです。値段も作家さんが決めた値段で販売し、売り上げが発生したら60%を作家取り分としてお支払いした後、残りの40%でお店を経営します。

売り上げ金としてお支払いするのが委託店で、普通の小売店は、自分の好きな数、好きなアイテムを先に仕入れてお支払いしたのち、自分の好きなタイミングで販売ができ、また好きなタイミングでセールなどもできますので、普通のお店の方がオーナー独自のお店展開が可能になります。
委託販売店は基本、作品をお預かりしている立場なので、お値段を下げることや、追加の納品などは作家にお伺いをしなければなりません。
そういった点でいうと、お店の思うような販売はほとんどできない、と言ってもいいと思います。
もちろん、季節のセールなどで作家にお願いすることもできますが、私はハンドメイドやアート作品のセールはやってもあまり効果はないと思っていますので、ほとんどそういったセールはありません。

ただ、私は手数料、という言葉は好きではなくて、普通の小売店であっても販売価格の40%で経営している点では全く同じで、その40%でお店の維持費、宣伝費などを出している点も全く同じです。

つまり、委託店の手数料という概念はそもそもおかしくて、販売価格から卸価格を引いた金額で経営している点は同じなのだから、私は作家が決めた販売価格から40%いただくのは、小売店として当たり前の行為であると認識しています。
卸価格で仕入れて、40%上乗せした小売価格で販売する普通の小売店と同じです。

ただ、こういった考え方で経営している委託販売店はおそらく少ないんだろうなと思います。
昨今、委託販売手数料が40%どころか50、60%ぐらい取られた上に、場所代として毎月3~6000円かかる、という投稿を目にするからです。

特に絵画系に多いのは、作家取り分25%。
これではやっていけない、というのが実情でしょう。

おそらく、売れるかどうかわからない作家作品に対して、店側としては売れない時の担保として、場所代を請求することが多いのではないかと思います。
そこが問題なんですよね。
売れるかどうかわからない。かなり消極的な考え方です。

作家作品は、その時々において、売れる時と売れない時があるのが現実。
あの時大きな絵が売れたけど、今度は全く売れなかった。ということも数多くあります。

でもそれもブライスドールを扱うようになって思ったのですが、ブライスドールであっても売れる時と売れない時があるのが現実なんですよね。
ブライスドールも大量生産品ではありますが、私はそのクリエイションの過程にハンドメイドやアートと同じような感覚があると思っていますので、アート作品と同じような販売の波があるのではないかと思っています。

だから面白い、というのもあるのかもしれません。

毎回毎回同じように売れていたのでは人間飽きてしまうので、全く売れない作品が、今回は早々と売れてしまった時の喜びを体験してしまうと、次はどうなんだろう?・・・となってしまう。お商売はある意味ギャンブル性が高い仕事ではないかと思います。

委託販売店はそういった商売のギャンブル性を否定して、安定した収入を得たい、という気持ちが強くなっているのかもしれません。
もちろんそれは悪くないのですが、その安定を求めるあまり、作家に対して過度の金銭的な搾取が横行しているのであればそれは看過できないと思います。

こういった委託販売店が増えてしまったのは、作家側にも問題があると思っています。
委託販売手数料というわけのわからないものや、場所代など本来払う必要のないお金を言われるまま払ってしまう。
また、売り上げに関しても、もっと積極的に聞いてもいいのに、全く聞いてこない、問い合わせてもこない。
間違いがあっても数か月たってからようやく気が付く、などなど。
納品書や請求書なども書いたことがない人も少なくありませんし、6掛け、5掛けなど商売に必要な掛け率の計算などもできない人もいらっしゃいます。
納品書がメモ書き、もしくはそもそもない、という人は販売をしている作家としてどうなんでしょう?まして委託販売をお願いしている立場として、そういった事務的なことが一切できない、というのは怠慢としか言いようがありません。お店側につけ入れられる根拠となるのはそういった所です。

個展や一般販売である程度売り上げをきちんと確保している作家の特徴は、不思議なほど共通しています。
納品書や値札などがきちんとなされていること。
問い合わせやメールの返事もしっかりあります。
そういった細かな事務的なことがしっかりできる人は、なぜか売り上げもしっかりある、というのが現状です。

それでも、そういったことを常日頃心掛けているけれど、委託店とトラブルが多い、というのはその委託店に問題があると思っていいと思います。
毎月の販売実績表がないというのもよく聞きますし、問い合わせても返事がない、戻ってきた作品が壊れていた、壊れかけのダンボールに入っていたなどなど。

壊れていたらお店が弁償する、作品は来た時よりもきれいな状態で戻す、販売実績表を毎月送る、というのは鉄則です。

作品は、店が仕入れた商材ではないですので、所有権は作家にあります。なので売れるまで作家のものです。

そういった細かな認識が崩れると、どうしても店主体となってしまうのは否めないかもしれません。でも、委託店はそういった配慮がないと続けていくことはできません。

今搾取型のお店が多いのは現状ではありますが、あまりにおかしいと感じた場合は、自分がおかしいのではなくてお店側がおかしい、と思う判断力をどうぞつけていただければ、と思います。






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