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この秋から戻れない

今  この瞬間もね
まだ痺れるほど
思い出してるの

アナタが連れてってくれた
色んな想いを出してくれた
あの夜中の登山口

外灯もなくて
携帯のライトで足元を照らしながら
ヒールでヨチヨチしつつ

アナタに導かれて
抑えきれない  そんな気持ちで
苔むした欄干に手をついた

振り向いて見た アナタの眼差しが
いつもよりずっと真剣で
いつになく官能的で

ワタシはもう 
何も
考えられなくなる

手をひいて
脚を持ち上げて
お願い
もっと  もっと  欲しいと言って

後ろから抱いて
誰か来るかもしれない
そんな  恐怖と背徳感のなかで
もっと もっと 声を出させて

崩れ落ちる膝
夜露とアナタが伝わる脚
手を引いて 立ち上がらせて
もう  自力では立っていられない

もう
アナタとのこの秋の始まりの
深夜の登山口の秘め事を
知ってしまったら

もう
ワタシは戻れない
もう
アナタ無しでは

いられない


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