わたしたちが生き残るためには
脇に抱えているがご自分の体の幅からだいぶはみ出たバッグ(硬い革もしくは本体がナイロンなのに革のトリミングがなされている率が高く角はかなり鋭利)、ぱんぱんに詰まった背中のリュック(ヨーロッパ1ヶ月の旅でもそんな量の荷物はいらなかった)が、通勤電車内でよくある不可抗力で当たられたり引っ張られたりすると結構な形相できっとなる人々は、空間把握能力がないか空間占有意識が強いかのどちらかである。
そこで問題になってくるのが、どちらが私たちの敵かということだ。
戦闘態勢になって身を潜めて暮らさなくてはならない状況になった場合、前者は確実にすぐ撃たれて死ぬパターンと推測できる。自分の身体が空間に対してどの程度影響を及ぼしているか理解できていないので、たとえ逃亡の際物陰に隠れたとしてもどこかしら身体がはみ出しているので的となり撃たれる。この種類の人については、近寄らなければ流れ弾など二次被害を被る可能性もない。
やっかいなのは後者である。シェルターに身を潜めなくてはならなくなった場合、しかもそのシェルターが公共の場合、彼らは他の避難民に対して優位性を保とうとするだろう。例えばシートや毛布などで縄張りを主張し、その境界を侵犯してくる者に対して敵意をあらわにするだろう。あるいは狭いエリアに閉じ込められそこが水攻めされた時、水面に顔を出すためにあらゆる手を尽くすだろう。
普通の人間が生き残るためには、空間占有意識の強い人を車内で特定し彼らのその意識を何となくそいでいく必要がある。方法はまだない。
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