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ガイドブックを掘る、韓国の旅2

バリ島で見つけた36年前のガイドブック

 古いガイドブックを見つけたのは、ウブド(バリ島)の古本屋だった。洋書ばかりの中にあった「韓国」という文字、引っ張り出して見たらガイドブックだった。青いのでブルーガイドかなと思ったら、版元が違う。発行は「ワールドトラベルブックス」、「1982年8月25日改訂14刷」とある。バリ島に行ったのだって20年も前のことで、そこで見つけたさらに昔のガイドブックが今、手元にあるこれである。

 後で調べてわかったのだが、実はこのガイドブックこそが、シリーズに「韓国」が単独で加わった最初の一冊だった。初版は1971年5月、日韓の国交正常化から6年目である。

 「それ以前のガイドブックでは、韓国は東南アジアとセットだったんですよ」

 ガイドブックに詳しい友人の一言に驚いて、国会図書館などを調べてみたところ、いわゆるガイドブックシリーズで最も古いのは、『外国旅行案内』(1952~77年)と『JTBガイドブック』(1963~1969)など、いずれも日本交通公社(現・JTB)発行のもの。韓国は前者で「アフリカ・アジア・大洋州」という一冊に、後者では「東南アジア・韓国」という一冊の中に収められていた。

「韓国の旅」の始まりは1970年代

 戦後の日本人にとって、韓国が「旅先」となったのは、このワールドトラベルブック社の『韓国』が出版された1971年頃からである。これは数字にもはっきり表れている。日韓国交正常化の翌年1966年に年間1万6873人だった韓国への渡航者数は、この本が発行された1971年には9万6251人に、さらに翌1972年には 21万7292人と大幅に増えている。この日本人たちは、どんな旅をしていたのか。その時の韓国はどんな様子だったのが、ガイドブックからは様々な想像が膨らむ。

 ところで、この40年近く前のガイドブックを見返しながら、最初に気になるのはやはり「食」の部分である。特にレストラン情報、これは長く韓国のガイドブックに関わっている人間の性癖だ。まずは閉店していないかという心配。韓国の食堂はとにかく入れ替わりが激しく、「せっかく行ったのに、やっていないかった。時間を返せ」という読者のクレームに常におびえている。もちろん、40年前の他社のガイドブックに私はなんの責任のないのだが、まずはここからチェックしようと思う。

 「うまいものガイド」(レストラン紹介)のページは3p、それにレストランリストが見開き2pと全部で5pだ。総ページが213pでこれしかない。<韓国料理店>が31店、<中華料理店>が7店、<日本料理店>が14店、<西洋料理店>が18店。ざっと見渡して、ああ、懐かしい。でも、現存するところもあるにはある。(つづく)


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