すべての始まりはイギリスだった
私の出身は長崎県平戸市にある生月(いきつき)という小さな島で、高校を卒業するまでの18年間をこの島で過ごした。水色の橋が掛かったのは、確か小学校3年生の時で、前より少しだけ簡単に遠くへ行けるようになった。詩を書くようになったのは中学1年生の思春期真っ只中で、きっかけは好きだった先輩との些細な出来事や初めての感情を忘れたくなかったからだった。目が合ったこととか廊下ですれ違ったこと、朝の通学路で見かけて追いかけたこと、上履きの中に手紙が入っていたこと、先輩の靴の匂いをこっそり嗅い