バビロンの歌
第9章「精霊の地にて石板あらわる。」
パタゴニアに着いた、どこまでも広がる麦畑と太陽、そして道は舗装され畑も麦だけかと思ったらブドウだったり、りんごが生えていたり奇天烈な光景が広がっている。
犬山光輝「ここがパタゴニア?なんか幻想的だ、ここの農作物は誰が手入れしているんだ?」
ビジュナ「ああ、妖精にドワーフにノームサラマンダーみたいな精霊もたまに、今は見えないけど。」
猿飛一二三「見たことないし、臆病なんだよ、多分。」
犬山光輝「それ、失礼。」
麦畑は本当に綺麗で、風が吹くと麦は靡いて黄金色の弧を描く、風の方向が変わるたびに、畑も形をかえる、何度も何度も、少し先のリンゴの木は何故か実が落ちず揺れている、りんごは赤く、今が収穫の時に見える、甘い匂いが食欲をそそるし食べて見たいが、それより今は、石板を探さなければ。
ビジュナ「コンパスはこの道の先を示してるわ、あの大木あたりかしら。」
その木はここからでもはっきり見えた黄金の畑の終わりに居た、その木の周りだけ芝生
のようになっていて、何か不思議な力を感じる、歩くたび近づくたびに手がビリビリして頭がぼーとしてきた、考えさえもまとまらないような感覚に襲われた、周りの景色もまた素晴らしい、ある絵画のシーンに自分がいるような、ここには当たり前だが、自動車も標識も人もない、スマホもネットもあrのは麦の穂と風もう少しであの大木につける、けれどもう一つ奇妙な感覚が足を誰かに引っ張られているような気のせいならいいのだが。
ビジュナ「ああ、ここね、大きな木だこと、あれ?誰かいる?二人?」
大木のそばには、タル形の置物があったのちのそれは生命金属体だと気づくが、白い布地を肩から着ている、肩口は大きなボタンがしてありそれで布地を止めているのだろうか?あまり特徴がなさそうなタルだ、何かの神だろうか?目は横に伸びていて、どこを見てるかわからない、口は小さくおちょぼ口、手足は銀色に輝いていてブリキなのか肘や足あたりが錆びている、体は太く、たるが2個乗っている、髪はカツラだろう一丁前にある、その男は本を読んでいた木の木陰に座って静かに、その横には女性だ、人間だろうか?男の前でジェスチャーを交えて話したり、怒ったりしていた、赤髪で目はくるりと頭の髪を団子にしてるあたりが、かわいい勝手だが。
ソーサー タチアナ「だから、どこにあるの石板は、早く出して、ナプウさん、私は帰りたいの、自由な都市のあのベガスに、ベガスよ、ベガス、だからジャストナウ。」
女性は困ったようにオーバーリアクションで男性に詰め寄っているが男性は驚く様子もなく淡々と答えていた。
ナブー「説明過多、要約要点、石板はある、いのり伝心呪文あり、神の子二人必要、呪文我に神託を授けよ、だ。」
ソーサータチアナが見様見真似でやっているここら辺で割って入りたいのだがしばらく見てみたい。
ソーサータチアナ「ええと我に神託?を授けよ?え?神託ってなに?。」
あたりには何も起きない。
ソーサータチアナ「あれれ、おかしいなあ。」
ナブー「我要支援、茶屋にて一服候、タチアナ会話不能世界、救難信号発信メイデー、メイデー酩酊。」
遠慮気味にビジュナが入ってくる、ビジュナもここに入るのは悪いと思ったのか、顔色を伺っている。
ビジュナ「あのーすいません。」
ビジュナに驚く二人、しかしブリキの方は知っていたらしく、首を回しながら両手を上げて喜んでいた。
ナブー「おお、分類神、階級5、国インド、ヒンドゥー神、ビジュナ、確認、天命の石板捜索部隊、問い、クロノスは何処へ?我ナブーなり、神の子はそちらか?」
ビジュナ「ああ、あなたがナブーさん、これはどうも。」
ビジュナがブリキに対して物腰が低くなった、かなりえらい人、ブリキなのだろうか?
ナブー「神の子二人結構結構、早速呪文を唱えて石板を手に入れよう。」
タチアナがこちらに気づき手を振る。
タチアナ「君たち人間?よかった力かしてよ。」
犬山光輝「うん、何をやればいい?」
ナブー「我に神託を授けよ、感謝を両の手にといい、二人手をつなぐことだ、最後に礼、心で感じれば答えてくれる。」
僕らは言われた通りにやってみた、二人手をつないで心で念じて感謝を、今までのことこの世界全てのことを。
猿飛一二三「俺は?やらなくていいのか?」
ナブー「君は大丈夫、他にやることがある。」
僕らが呪文を言い終えると、あたりの風が大木に集まってきた、大木が突然実を落とし始めた、どんぐり、パパイヤ、栗、りんごに、ブドウ、バナナ、あたりはフルーツでいっぱいになった。光が虹色に大木に集まり、空から茶色の板が降りてきた。
犬山後光輝「あれが石板。」
ビジュナ「へえー。」
それはよゆっくりとタチアナと光輝の手に降りてきた、光に守られているように。
そしてふっと消えた。
犬山光輝「わかる、ここにある。」
タチアナ「ええ私たちの胸の中に確かにある。」
その一連のことが終わるとあたりはまた風景が変わっていった、麦畑には妖精、ドワーフがせっせと働いている。妖精は空を飛び収穫やら草木に栄養を送っている、鱗粉を振りかけると種が一気に成長して木になり、実になる、ドワーフはせっせとそれらを運んでいる、小さな木の台車に数人の可愛らしい三角帽子を被った無骨な小人は台車を押したり、収穫したり、働いている。それだけじゃない、麦には小さな小さな人形まで見える、精霊だろうか?
そのほかにも地面をトカゲが闊歩している、そのトカゲを小さな人が荒地に連れて行き、合図をするとトカゲは口から火を吐いた、その火を畑に巻いている、焼畑だろうか?見えなかったものが見える。
犬山光輝「こんな風景だったのかよ。」
猿飛一二三「これは、これは。」
ナブー「石板は力のみにあらず、その本質は理を理解し、変える力、しかし5つ揃わなければ、いけない、正しく、愛と太陽が鍵。」
タチアナ「あれ、気づかなかったの?さっきからちらちらと見えていたのだけれど、知らなかった?」
そうして周りの風景に圧倒されていると黒い羽音を響かせて何かがこちらに向かってきた。周りの妖精たちはそれをみて地下のトンネルへ、羽を出して逃げ出していった。
ナブー「ここで、さよなら、我は石板を作ったが、争いのタネに常になった、今もこれからも悩む、どうか正しい方向へ。」
ナブーはその場でそっと姿を消した、黒い羽音はこちらを囲むようにして回っている。
ビジュナ「パンシー悪戯好きの妖精、敵よ。」
羽虫の一匹がこちらに向かってきた、体長は40センチほどだが細かい牙を鳴らし、手にはお決まりの槍や弓、銃、小さなおもちゃにしか見えないが本物だ、虫の顔のような人のような顔だ。
パンシー「石板ちょうだい、じゃなきゃ悪戯しちゃうよ、みんなで。」
犬山光輝「タチアナさん戦いは大丈夫?」
タチアナ「ええ、魅惑のダンスでみんな眠ってもらいます。」
黒い羽虫は大きな音と体で壁を作り逃げ道を塞いだ、恐怖が支配している、この風景とは似つかない恐怖だ。
犬山光輝「ビジュナ、俺やっぱり世界救うわ、こんなことおかしいから。」
ビジュナ「え?うん。」
羽虫は襲ってきた、そして仲間が大半やられたあたりから、逃げていった、僕の決意はここで決まった。