Netflix作品「脱出おひとり島」に見る、自分から動いて状況を変えていく力。
恋愛リアリティーショーというものがある。
意図的に複数の男女を集め、数日間一緒に過ごし、カップルが誕生する過程を収録する番組だ。
この手の番組には苦手意識があり、見ていてあまり面白いとも感じず（個人的意見）ほとんど見る機会がなかった。
そんな私が一つだけなぜか大いにハマった作品がある。
Netflix作品「脱出おひとり島」だ。
韓国のある島（番組内では地獄島と称される）に男女が１０名近く集められ、約10日間ほどキャンプをしながら共に過ごす。
出演者たちは期間中にゲームやアトラクションに挑戦し、そこでカップルが成立すると、天国島と呼ばれる超高級リゾートに宿泊し、お互いの気持ちを確認していく。
そして最終日にカップルのマッチングを行い、最終的に両思いになったカップルは地獄島を「脱出」する、という内容だ。
（※以下、番組のネタバレを含みます）
出演者がとても個性的で、また竹を割った様なさっぱりした感じの方が多く、ストーリー展開もおもしろい。
珍しく夫も「これはおもしろいね」と言って、子供を寝かしつけた後にビールを傍に、夫婦でああでもない、こうでもないと言い合いながら見るのが楽しい。
そんな中である出演者が印象的だった。
その方は女性。他の女性陣と比べるとスタイルがいいわけでもないし、絶世の美女というわけでもない（ごめんなさい）。失礼ながら最初はなぜ彼女が出演権を得たのかな・・と不思議に思った。
ところが彼女がすごかった。
彼女にはある意中の男性がいたのだが、彼は別の女性に夢中。勝ち目は一切ないのだが、彼女はあきらめない。
丁寧に、何回もコミュニケーションを試みる。普通、自尊心がズタズタになって、もういい！となりそうな場面でも、真正面から向かっていく。
そしてちゃんと最後諦める時も、彼に時間を作ってもらい、自分の想いを伝えた上できれいに身をひいた。
そんな彼女は他の共演者にも気がきく。途中出演者に対しても積極的にコミュニケーションをとっていろいろと面倒をみる。
そして最終的に彼女は別の出演者（美男子）から猛アタックを受け、最終的にカップル成立、となって島を後にした。
彼女は見事に番組のなかで見せ場を作っていった。
彼女より美しい共演者（私の主観）が両思いになれず、自分からのコミュニケーションを諦めて腐っていってしまう中で、彼女はきちんと自分から動いて状況を変えていった。
これってなかなかできることではない。意中の彼は振り向かず、他の男性陣からも興味を示されない、という徹底的に残酷な環境の中で自己肯定感も駄々下がっていただろう。そこに屈せず、自分から状況を変えていく彼女の強さはすごかった。
おそらくこの番組、韓国の芸能界やビジネス界に進出する上での登竜門的な位置付けになっている。
出演者がモデル、youtuberや経営者であり、出演後、彼らへの仕事のオファーも急増している模様だ。
件の彼女も演劇課の学生で、将来は女優を目指しているのだろう。素晴らしい役回りを演じた彼女には、きっと何らかのオファーがくる気がする。彼女が意識していたかはわからないが、彼女の真の目的はカップル成立することでもなく、異性にモテることでもなく、女優という道に向かって自分がこの状況での中でどういった役割を演じるのか。それを考えていたのではないかと思ってしまうくらい、彼女の強さは群を抜いていた。
私はどうしても目の前の状況に飲まれてしまう。苦しい状況になると自己肯定感が下がり、プライドが邪魔して自分からのアクションを諦めてしまう。
けれど、目の前の状況は自分から動けば必ず変化はあるし、腐らずに笑顔で動いていけばその道は未来のどこかに必ず続いている。
強い彼女を見ながらそんなことを思った。