15.昔の家電が尊い話
去年の夏引っ越して、これを機会にと家電をいくつか買い換えた。テレビ(これまではTV一体型PCを使ってた)と洗濯機(古いし大きかったのでコンパクトなものが欲しかった)、そしてオーブンレンジだ。このオーブンレンジがかなり古くて、わたしが実家を出て一人暮らしを始めるときに買った物で、もう25年くらいは使っていたものだった(なんとNational製!)。
そのオーブンレンジ、パワーが弱くなったかな? くらいで、目立って調子の悪いところはなかったけれど、庫内がだいぶ汚くなっていたし、引っ越しするし、増税前に新調するかってなテンションで新しいものを探しに行った。
家電量販店で物色してみると、今のレンジはボディがどれもでっかくて、手持ちのレンジ台に置けるのを探すのに一苦労だった。あーでもないこーでもないと腕組みしながら条件に合う物を探し、割と安くて機能もそこそこのものを手に入れた。
新しいオーブンレンジはレンジ台になんとか収まった。先代とは胸を痛めながらもお別れをした。新入りはとにかくぴかぴかで、それだけで部屋が洗練されたようだった。ボタンも先進的なタッチパネルで「未来!」という感じがする。
ところが。
この新入りが2年も経たないうちにダメになったんである。一番使う頻度の高い「自動あたため」が使えなくなった。何度やっても、何度かコンセントを抜き差ししても直らない。ごはんのあたためがボタンひとつでできないのだ。一回一回時間を設定してあたためなきゃいけない手間。それもだんだん調子が悪くなってきて、ついにあたためができなくなった。
こういう事態になって気付いたのだけど、タッチパネルもいまいち反応が悪いことにも実はイライラしていた。物理ボタンやぐりぐり回すダイヤルが恋しかった。修理に出そうにももう補償期間は切れててどうしようもない。こんなに早くダメになるとは思わなかった。
それを思えば、あのNational製のオーブンレンジはとても良い物だったのだ。完全に壊れたわけでもないのに手放したことを心底後悔した。
新しい物はいい。便利な機能が増えているし、きっと節電もできるんだろう。何より見た目がカッコイイ。だけど、すぐに壊れてしまうのではまるで意味がない。
とりあえず、あたためができないのをどうにかしなくてはいけないと、また家電量販店に行き、今度はなるべくシンプルな構造の単機能レンジを購入した。ダイヤルぐりぐり回せばあたためられるってヤツ。そもそもわたし、オーブンとかトースターの機能、ほぼ使ってなかったんだよな・・・。
使いもしない機能にこれまでわたしはお金をかけていたのだ。そこを省いたものを選んだら安かったし、サイズも小さくなってレンジ台に余裕で収まった。古い物を買い換えるにしてもなぜ単機能レンジを検討しなかった、わたし。
壊れてもないのに買い換えを選んだ過ち。使ってもいない機能があるのに同程度の物を求めてしまった過ちにわたしはうなるしかなかった。
あれこれと機能を増やした結果、どんどんお金もサイズも巨大化していく家電。あのNational製とまったく同じものは今探してもない。昔の家電は品質が良かったのだと改めて思い知らされた。もっとものを大事にしなくては。
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