モヤモヤ

 仕事というものは、誰かに教えてもらうより、なんにも解らないところから苦しんで学んだほうが身につく、と解ったのは社会人になって5年くらい経ってのことだった。

 他人には他人のやり方があって、それは自分にとってはやりにくい方法であることが多いのだし、それならモノの使い方ひとつ覚えるのでも、他人に教えてもらうより、万人向けに作られたマニュアルを読み込んで、あーでもない、こーでもないと体当たりで覚えていくほうがいい。

 わたしはそういう覚え方に慣れてしまったので、だいたいのことは自分で調べて解決してしまう。ただ、もちろん世の中には真逆の人がいて、そういう人は目の前にマニュアルがあっても読もうとしない。のっけから解る人に聞く。そして、聞いたことはそのときには実践できるが、数日経つとまた同じことを聞いているのだ。

 前者と後者が同じ組織にいると、前者は後者に永遠に頼られ続ける。わたしも、たいがいのことは解ると思われているらしく、最近では自分が知らないことまで聞いてくる。

 いつまでもそんなんじゃ困るなあ。

 だから「それはわたしも知らないし、自分でなんとかして」と言うようにしている。相手がきちんと仕事を覚える為には、わたしが何でもかんでも助けちゃダメだと思っている。ググレカスじゃないや、マニュアルヨメである。そうしてしばらく席をはずし放っておく。しばらくして戻ると、作業はだいたい片ついているようである。ただ、なんかそのやり方が要領が悪いような気がする。気になってこっそり自分で調べてみると、もっと近道のやり方が載っている。

 お・・・教えたい。

 だけど、作業はもう終わっているのだし、自分でやれと言った以上「こっちのやり方のほうがカンタンだよ」って言うのも今更何よって感じで空気悪くなるし、突き放したくせに結局気になって観察していることを知ったらキモチワルイだろうし・・・。

 人を成長させるには、黙って見ているという我慢をしなければならないのだろうね。本当に難しいことだなあ。

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