皓王戦がすごい!天鳳×条件戦振り返り
一次予選ですべてを使い果たした多喜田は、
続く二次予選で嘘のようにボロ負けした——
天鳳で皓王戦(はくおうせん)という
タイトル戦が開催されている。
五団体に所属しているプロが参加でき、
団体の垣根を越える×インターネット開催が史上初成立した
非常に衝撃的なタイトル戦である。
衝撃ポイントはこれに留まらず、
天鳳を使ってトーナメント形式で二次予選以降が開催されるというのも衝撃的である。
天鳳が、今回の大会に向けてトーナメント形式の機能を実装したということだ。(構文)
トーナメント戦はこれまで何度もやってきたが、牌譜が無いので「ここでこんな難しいのがあったんだよ〜」というのを何とか伝えようとしても色々面倒すぎてまともに聞いてもらえなかった。
例えば口頭で「南3局で上6pt差下17pt差自身7巡目3900愚形聴牌で上の条件が〜で下は〜で条件的になんとかかんとか〜で下から当たり牌が出て〜」と話しかけられて、果たしてまともに聞いてもらえるだろうか?
僕なら途中からよく分かんなくなってとりあえず聞いてるフリをし、「うーん..それめっちゃ難しいね」などととりあえず回答する。
しかし今回は牌譜がある!ということで是非聞いてほしい。というか聞いてくれ。
普段TLを眺めているとついつい見かける「トーナメント戦」というワード。条件戦とも呼ばれる。
麻雀プロの対局ではよく遭遇するこのシステムだが、概要は以下の通り。
固定面子で複数回対局を行い、前半荘終了後にポイント上位1名or2名が通過となるシステム。
<例>
2半荘トーナメントの2人抜けの場合、
①1半荘目を消化
②2半荘目をポイント持ち越しで消化
③終了後、ポイント上位2名が通過
単純だが、条件が課せられた状態で打つ麻雀というのは中々に自分も不慣れではあるものの、非常に面白いものだと強く感じる。
慣れてる人と慣れてない人で、通過率にそれなりの差が出るのかな?と勝手に思っている。
是非その面白さを知ってほしい!そして僕の反省会に付き合ってほしい!という趣旨で、
以下記載していく。俺の遠吠えを聞いてくれ。
<ルール>
WRCルール採用。
・30000点持ち30000点返し
・一発裏ドラカンドラカン裏あり
・食いタン後付けあり
・ウマ5-15
・赤なし
・途中流局なし
ざっくりこんな感じである。
・1半荘目
1本目は普通に打てる。裏を返せば、2本目からは何かしらの制約を負った状態で打つことが多い。
大会ロビーで待っていると、
「対局に参加しますか?yes/no」
というウィンドウが現れたのでyesを押す。
つのださんの頑張りがここで伝わってきた。
始まった。全員最高位戦の選手だー!
東1局
※下家7pチー6p
形式聴牌で持ってきたドラを切るか。
切ってもいいし、切らなくても良いかな?くらいに見えた。
下家上家共に聴牌気配があり、親は切り出しがタンピン系模様なのに、道中に5sの対子落としを挟んでる。
なんか本物っぽいな..ということや、
索子が分断されてて4枚保有の25pの危険度もそこそこなことなどを考慮して降りた。
東1局は形式聴牌であまりチャレンジしないことが多いけど、合ってるかは分からない。
前巡に中切るか迷ったけどここまで来ると放銃もそこそこあるな..ということで9pにした。
東1局2本場
※対面ポン打白
一手替わりがドラ引きと高め三色の二種変化だがリーチ。
圧倒的に先制していそうな為、先制の優位性を打点に変換したいという気持ちはあるが、変化の種類がちょっと少なすぎるな..
普段打っている天鳳などだとあまり考える間も無く立直ボタンを連打してるけど、競技麻雀では数順のダマなどが得になり得るのかな?という最近の悩みが詰まった聴牌。分から〜ぬ。
アイヤー!2000点+リーチ棒を失った。
東2局
今度はダマにした。
先程の手牌と同様に圧倒的先制だが、
①変化が一種多い(断么九6m/高め平和三色5s/平和2s)
②打点が立直のみ
③ダマ3pツモ後の4s切りフリテン立直も和了率がそこそこある
④仕掛けが入っていない
などで今度はちょ〜っとだけダマにしても良いかな..という感じにしてみた。分からん。
変化の牌が切られる&2段目入るのいずれかで、立直をかけるつもりだった。
赤がない分、
・満貫〜跳満クラスの手牌があんまり来ないから多少欲張ってもよい
・(赤なしは)決着順目が天鳳などと比べるとやや遅いように感じる為、速度を落としても少しだけ失点に繋がりにくい
という感じなのかな?
腕。
腕?
その後...
色々あり...
なんやかんやで...
終わった。色々な...
条件戦の面白さを伝えたかったのに、条件がカケラほどしか残らない一半荘目になってしまった。なんでやねん!
と開き直って適当に打つのはしない。
たきたの眼はまだ!死んじゃいねえ!!
というわけで落ち着いて条件を整理してみると、自分視点は以下のような感じである。
107.1(107100点差)!?
まあ良かろう。
要するに、2半荘目が終わった時にこの内の2人のポイントを逆転していればOK。逆に言えば、何としてでも誰かを引きずり下ろす必要がある。
とりあえずぼく目線で考えると、
勝ち抜ける条件は以下っぽい。
必須条件:トップ取る
↓その上で..
①松田ラス時/77100点差&
-岡本3着(68800点差)/若山2着(38500点差)
-岡本2着(関係無し)/若山3着(28500点差)
②岡本ラス時/58800点差&
-松田3着(関係なし)/若山2着(38500点差)
-松田2着(関係なし)/若山3着(28500点差)
③若山ラス時/18500点差&
-岡本3着(68800点差)/松田2着(関係なし)
-岡本2着(関係なし)/松田3着(87100点差)
どれを見てもまともな条件がねえぞ!
(強いて言うなら多喜田-松田-若山-岡本がベスト)
だが麻雀の可能性は無限大!インターネット麻雀オタクを舐めるんじゃねえ!!
ということで2戦目へ。
座順と起家は固定なのかな?
東1局
松田→岡本への満貫放銃。
これで
多喜田-岡本(関係無し)-若山(28500点差)-松田(77100点差)
の並びを狙う方針に。
12000を3回直撃すれば逆転だ!
この時点では岡本さんに点棒を預けておいて、後でまとめて回収するイメージだったのでこの後多少岡本さんがリードしてもまあよかろう。
この時点で何よりも大事なのは、松田さんとの点差だ。
目先の自分の着順はさておき、しっかりと並びを作ることが大事。最後に捲ればよい。終盤には岡本さんから見逃す選択も出てくるだろう。
ま、まあよかろう...
ホントに平気かな?
東2局
メンタンピン一発ツモドラ裏裏コースか、
立直ツモ清一色裏3コースの比較で後者を採用。高い方。チーの清一色満貫も渋良し。
現実を見る。たったの満貫でもあがれないよりは遥かに良い。
というより麻雀には親番があるので、
<子供>極力普通に打つ&高い手は押す
<親>親権維持が要なのでほぼ全部押す
という方針を敷いた。全部押すやん。
実った。ここで号泣。
たったの満貫だが、
この時点で松田さんとは
たったの残り58300点差でOK!
スーパーポジの精神で次へ進む。
東3局
①松田ラス時/77100点差&
-岡本3着(68800点差)/若山2着(38500点差)
-岡本2着(関係無し)/若山3着(28500点差)
上記のような条件だった。
若山さんには28500点差以上ついた3着にいてもらえないと通過できない。
アガリを潰したいけど、若山さんが4着に落ちてしまうのは条件が若干キツくなってしまう。
この辺りでどうするべきかがよく分からなくなってしまい困るも、時間は15秒しかない...
結果、
「アガリを潰す」「満貫が見える」という点にのみ焦点を当ててしまい、狂ったように押すのが正解と勘違いして若山さんへ2000点放銃。圧倒的腕。条件を使いこなすつもりが、条件に踊らされてしまった。
しかし昔から運だけはいいので2000点で済んだ。感謝。
この後親番も流れてしまい、南入。
ここでようやく...
南2局
運王への扉をこじ開ける。跳満ツモ。
親番が来るまでは高い手を狙いつつ、普通に打つのだ。
南3局
残り2局。状況は以下。
多喜田トップ時..
若山3着(28500点差)/松田4着(77100点差)
上記を達成するために、残りの局でやらなくてはならないことは以下っぽい。
対岡本→2着に落とす
対若山→3着のまま19700点差広げる
対松田→4着のまま39700点差広げる
要するにたくさん和了れということか。
この点差なら松田さんと若山さんの着順がひっくり返ることもあまりなさそうなので、この点は考慮しないことにした。
(入れ替わると松田さんとの点差が+10000点必要になるため)
この瞬間のポイント状況は以下。
岡本:57.7
松田:4.0
若山:▲16.0
多喜田:▲45.7
岡本さんをまくれば、現実的に勝利条件が見えてくる。
ぱっと見の点棒は結構勝ってそうなんだけどな...
そしてこの手牌である。ツモ三暗刻聴牌。
子供は普通に打つと言ったが、三暗刻ツモ時と四暗刻ツモ時のポイント状況は以下。
<満貫ツモ>
岡本:45.7
松田:2.0
若山:▲20.0
多喜田:▲27.7
<役満ツモ>
岡本:39.7
多喜田:▲3.7
松田:▲4.0
若山:▲32.0
始まる前に107100点差あった松田さんを捲る大チャンスである。
全て1枚ずつ枯れてしまっているものの、
最悪ポンの対々和・三色同刻・三暗刻などのハネマンルートが残ることも評価して8pを切ってみた。大勝負。合ってるのかな?
轟け!ビックバン・アタック!!!
オーラス
まだ終わってないです。
何故なら親番があるからね!
<やることリスト>
①トップ目に立つ
②松田さんと65700点差つける
③連荘する
とても条件戦とは思えないシンプルな結果になってしまった。
他の人の条件はどうだろうか?
岡本:和了通過
松田:和了通過
若山:三倍満ツモor松田から倍満直撃
2人軽い仕掛けが入ってしまうという点で非常に不利。2人通過のトーナメントなら仕方がないね。
イクゾォ!
とりあえず①をクリアした。あとは②。
条件にぐんぐん近づく。
そして...
<やることリスト>
①トップ目に立つ →クリア!
②松田さんと26500点差つける
かなり現実的な条件になった。
何度でも言うが、始まった時は107100点差あったのだ。
本当に何が起こるか分からないな...と改めて体感した。ネバーギブアップ。
対々和に変化する前に900オールツモ。
これで残りはいよいよ23900点差である。
6000オール一発で逆転。
そして伝説へ...
とはならなかった。終戦。
思わず椅子からひっくり返ってしまった。
ということで振り返りをしてみた。
改めて整理してみると、明確にもっと良い選択があったシーンが散見されて非常に残念な気持ち。
あんまついてなかったけど通過するルートがあったし、それが現実的に起こり得ないようなものでもなかった。結局腕かよ〜〜
二次予選で敗退してしまったが、今日以降も天鳳で予選は行われる。
この記事で紹介した内容の100倍くらい、実際の条件戦は複雑なケースがとても多い。
(僕のはとにかくアガリを目指すだけだったので...)
見ていて変わった選択をしている人がいても、「条件があるんだろうな..」という気持ちで是非観戦してみてほしい。
(1戦目終わりに選手が着順をツイートしてくれると観戦しやすいな...などと思った)
今までもタイトル戦に参加し、トーナメント戦というのを何度もやってきた。
しかしその面白さを伝えるには放送対局まで登り詰める必要があるため、中々にハードルが高いという課題も同時に存在した。
しかし、今回のタイトル戦がこれらの問題を一気に解決し、気軽に共有できるようになった点は個人的には非常に嬉しい。
そして何より、対局後に誰かに話したい個人的名場面が、こうして牌譜を使って共有できる。
これが本当に嬉しい。
是非今後もインターネット麻雀を使った大会が広く普及し、物理的な距離を越えた対局が活発化したらよいな..条件戦ておもしろそうと思ってくれたらよいな...などと思うのでした。
勿論、対面で行う対局もとても好きですけどね!
読んで下さりありがとうございました🌸
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