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手術から8年が経過して

私が4ヶ月に渡る抗がん剤治療を経て、左乳房切除の手術を受けたのは2017年2月でした。
あの日から、この記事を書いている時点で、もう8年も経過したのだと思うと感慨深いです。
当時は、あと5年生きられることを目標としていたのですから。

無事に5年検診をクリアして、それ以来この乳がんを理由に病院にかかることがなくなったので、乳がんのことをとても遠い思い出に感じることもあります。
いつまでも再発を恐れていてもしょうがない。残された人生を、悔いのないよう思い切り生きるんだ。
そう思いながら、毎日を過ごしています。

乳がん初発の時も、再発の時も、それぞれに自分の身体に異変の兆候は感じていました。
幸い現在はそのような異変を感じることがないので、安心しています。そして、今のうちにやりたいことがあったらやっておこう、と思っています。病気にならなくても、日々年齢を重ね、嫌でも体力は低下しているのですから。

そう思いながら、還暦を迎えた去年は、今まで行きたかったところを一人で旅行しました。本来なら家族や友達と旅行したかったのですが、都合があう人がおらず、それなら一人でもふらっと行きたいところに行っちゃおう! と思い切ることにしました。

一人であるがゆえに、計画は念入りに立てました。おかげで、素晴らしい経験をさせていただきました。ただ、若い頃の一人旅と違うことと言えば、最近は旅先で知らない人と言葉を交わすということがないのですね。若い頃は若さゆえか、行く先々で色んな人達と知り合い、語り合ったものでしたが、最近はネットの普及のせいか、または他人への警戒心が強くなったせいか、知らない人と話すことは、昔に比べるとなくなったような気がします。


ブダペストの漁夫の砦より、国会議事堂を臨む

しかし今回、行った先々でほんの少し言葉を交わしただけの人々との、短い触れ合いでも、私の中に、小さな宝物のような良い思い出として残っています。

プラハの街で出会った、切符売りの青い目の美しい若者、アムステルダムの遊覧船上で写真を撮ってくれたヒジャブの女性(もっと撮りたいところがあったら言ってくださいね、とわざわざ付け加えてくれたことに、品の良さを感じた)、リバプールのビートルズ博物館にいた、大のビートルズファンという中国から来た中年男性(私がビートルズを聴いていた若い頃に、ビートルズを知っている中国人はほぼいなかったはず)、ウィーンで道に迷って、モーツアルトコンサートにもう間に合わないか!と焦っていた時助けてくれたタクシー運転手、その他、次々思い出せばきりがありません。
ちなみに、このブログの冒頭にある写真に写っているのは、リバプールで散歩している時に出会った、テイラー・スウィフトの扮装をした女性です。私がリバプールにいた時、ちょうど地元でテイラーのコンサートがあり、あちらこちらに彼女の扮装をした女性が出没していました。

しかし、たくさんの出会いの中には、まぁ、逆に悪い印象を残してくれた人もいましたけど・・・ でもそれも旅の妙味というものでしょう。

ウィーンのMythos Mozart にて、マルチメディアでモーツアルトの時代を体験

旅先にしろ、日常生活にしろ、こんなに小さな思い出を積み重ねていけるというのが、生きる醍醐味なのかもしれませんね。

8年前の病気治療を頑張ったおかげで、生命が繋がり、新しい体験ができていることに感謝します。

私を支えてくださった、病院のスタッフの方々、私の家族や友人、そして乳がん治療の発展のため、多くの方が寄与してくださったことにも、今更ですが心から感謝しています。

私の全闘病記は、キンドルでも発表しています。Amazon Unlimitedでは無料です。⇓ (内容はこのnoteにて有料販売しているものと同じです。)



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