くすみカラーに手を伸ばす
抱きしめたくなるような色だなあと思う。
ここ数年? あらゆるものの色味に「くすみ系」がたくさん追加されて、もりもり売り出されるようになった気がする。くすむ、って言葉はもともとあまり前向きな印象がなくて、褪せるとか、肌のくすみとかのイメージがあったのだけど、いまはむしろ落ち着いた色味としてプラスな表現になっているような。コスメにも普通にくすみ系って使われているし。
個人的な色の好みがそれほど定まっていなくて、きらいな色は特にないなあ~というレベルなのだが、はっとするような原色も好きだし、くすみカラーにも惹かれる。モノによるというのが正直なところ。
家具でいうと、ソファーなどの大型家具やカーテンを真っ赤や真っ青にするのはやや気がひけませんか。いや、オシャレ上級者ならお手のものなのかな……。ベッドが全部きらきらイエローだったらちょっぴり気が狂うかもしれないし、そこを冒険する勇気はないので、大きなものはライトな色合いに統一したい。
逆に、トースターとかの小物家電は原色ものがレトロでかわいいなあと感じる。2年くらい使い続けてきた赤いトースター、おもちゃみたいな色でお気に入りだったのですが、色だけでなく火力も強く、ある日クロワッサンをあたためていたらプチ発火。一時間の協議を経て念願のバルミューダデビューに無理やりもっていったわけだが、赤が無い代わりにグレージュ(グレーとベージュのあいだのような色)が選択肢に! 即決である。白や黒はオーソドックスで失敗しないのはわかっているが、ちょっと遊べるなら……と選んだのがいわゆるくすみ系だった。もうめっちゃエレガントでめろめろです。しかもバルミューダだし。バ・ル・ミュ・ウ・ダ!(おしずかに)
ケトルはたまに見かける深緑や真っ赤なのがいいなあと思いつつ、5年以上使っていてもなかなか壊れないんだよな……残念そうに言うことじゃないけど……ティ○ァールさんほんますごいです……。
服はそれこそバリエーションが豊富すぎて、いろんな色を試したいなと思ってしまう。くすみピンクとかベージュの淡い色合いももちろん魅力的なのだけど、はっきりした色を着るのは意外と楽しい。街中であざやかな赤のコートの人を見かけたときは胸が高鳴ってあやうく追いはぎするところだった。パーソナルカラー診断とかをちゃんとやったら、本当に似合うのはどの系統かを知れるのだろうが、うーん、し、知りたくない~~~! わたしにそういう眼がないのは承知のうえだが、人のコーデを見て、ブルーよりもオレンジがもっと似合いそう、などという感想をもったことがない。この人はイエベだなブルべだなって瞬時にわからないよ。果樹園じゃあるまいし。それに他人って少なくとも自分よりは服似合ってるように見えるし……あれ、これは自己肯定感の問題……!?
ただくすみカラーのすごいところは、あまりカラーセンスに自信のないわたしでも、なんとなく良い雰囲気に仕上がりそうだなあと思わせてくれるところ。家具や小物、服などなんでもそうだが、なんか素敵な感じだな、って手にとってしまうのがこの色味の魅力なのではないかと思う。だれかにプレゼントをするときも、いきなりビビッドカラーに挑戦するよりも、とりあえずちょっとシャビーな(最近覚えた単語です)色合いを選べば間違いない。と大口を叩きつつ、これまでわたしから贈られたものたちの評価が微妙な可能性は大ありなので、各々自分のセンスを信じるのがよいと思います。