長期金利と長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)とは
長期金利とは
長期金利とは、金融機関が1年以上のお金を貸し出す際に適用する金利のこと。
短期金利は日本銀行の金融政策などによって決まるが、長期金利は、主に長期資金の需給関係によって決まるもので、物価の変動・短期金利の推移(金融政策)などの長期的予想で変動する。
そうした特徴から、「長期金利は経済の基礎体温」とも言われ、景気が悪くなれば低くなり、景気が良くなれば高くなるという傾向にある。
報道で使われる「長期金利」とは
新聞やテレビなどで報じられる長期金利は、
「10年物国債の利回り」を指す。
これは10年物国債の利回りが長期金利の代表的な指標になっているからだ。
長期金利の動きは、住宅ローンの固定金利に大きな影響を及ぼし、それによってローンの返済額もかなり違ってくる。これから住宅を購入したい人などは、今後の景気の行方や長期金利の動きを見ておくと住宅ローンを考えるときに便利だ。
利回りとは
利回りとは、投資額に対するリターンの比率を指す言葉。
一般に1年間の年利回りのことを利回りといい、利息だけでなく、商品の売却損益も含まれます。利回りの計算式は、次の通り。
利回り(%)=(分配金+売却益)÷当初の投資元本×100
たとえば、元本100万円の商品を1年間運用し、4万円の分配金を受け取り、102万円で売却したとする。
この場合、「(4万円+2万円)÷100万円×100=6%」と計算でき、利回りは6%となる。
「利率」と「利回り」の違い
「利回り」は、しばしば「利率」と混同されるが、利回りと利率は別もの。
利率とは、定期預金や国債の金利など、預金や額面に対して発生する金利などのこと。銀行預金の例として、200万円を利率1%の定期預金に預けると、200万円の1%なので2万円の利息がつくことになる。つまり利率は、額面や元本に対して受け取れる利息の割合を表す。
一方、利回りは利息を含めた総合的な収益のことで、利息と資産を売却して得られる利益(または損失)のリターンである。
なお、一般的に、資産運用では利回り(リターン)が高いほどリスクも高くなる。リスクが低ければリターンも低くなり(=ローリスク・ローリターン)、リスクが高ければリターンも高くなる(=ハイリスク・ハイリターン)。
長短金利操作とは
長短金利操作はイールドカーブ・コントロール(YCC)とも呼ばれ、長期金利と短期金利の誘導目標を操作し、イールドカーブを適切な水準に維持することを指す。イールドカーブとは、債券の利回り(金利)と償還期間との相関性を示したグラフで、横軸に償還までの期間、縦軸に利回りを用いた曲線グラフのこと。長期金利および短期金利は以下のような方法で誘導する。
長期金利:国債買い入れオペレーション(公開市場操作)など
短期金利:当座預金への付利調整など
具体的には、短期金利は日銀当座預金のうち、政策金利の残高にマイナス金利を適用して、長期金利は10年物国債の金利が0%程度で推移するように長期国債の買い入れを行うといったことを指す。
通常、満期までの期間が長ければ長いほど債券の金利は上昇し、右上がりの「順イールド」となる。順イールドは通常時または金融緩和時に出現する形状だ。一方、右下がりの「逆イールド」は、金融引き締め時に現れる形状で、満期までの期間が長くなればなるほど金利は下がる。
また、イールドカーブの形状変化パターンとして、グラフの傾きが大きくなるパターンを「スティープ化」、傾きが少なくなるパターンを「フラット化」と言う。
2023年7月28日 日銀、長期金利上限を事実上1%に
日銀は2023年7月28日の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正に踏み切った。長期金利の上限の0.5%は「めど」とし、1%を事実上の上限とする。植田和男総裁は決定会合後の記者会見で「金融緩和の持続性を高めるため」と狙いを説明した。
政策修正を受け、28日午後の債券市場は長期金利が急上昇した。指標となる新発10年物国債の利回りは一時0.575%を付け、14年9月以来およそ9年ぶりの高水準となった。外国為替市場は円高に振れ、一時138円台をつけた。
財政に影響する可能性もある。長期金利が上昇し続ければ政府が発行する国債の利払い費の負担が重くなり、低金利に頼った財政運営も修正を迫られる可能性がある。
政府は12年の第2次安倍政権発足以降、低金利環境を生かして大規模な財政支出を続けてきた。すでに普通国債残高は1000兆円を超え、金利が上がればこうした財政運営は立ちゆかなくなる。財務省の試算では26年度の想定金利が1%上振れすれば国債費が3.6兆円増えると見込む。
今後の相場展開は
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