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何をして、どう在るのか「助産師たちの夜が明ける」「ソウルの春」「ジョイ・ランド」*2024年10月に観た映画

ワタシ若い頃から、散々仕事について悩んできたから
今こう言える事が不思議なのやけど
どんな仕事や働き方でも、ぶっちゃけ「ええねん」

今を自分で「これでええねん」と納得できてるなら

今月観た映画を振り返ると、いろんな仕事があり
一人前になる大変さや心が折れる瞬間
長く続けていて誇りを持っている

自分の任務や役目を正しく理解し揺らがない
自分らしく生きたい
色々あっても仕事は自分を支える

…いろんな国でいろんな思いをして人が生きてる
現実、理想には程遠くても「わるくない、自分の人生」と
思えたらOKなんちゃいますかー


  • 助産師たちの夜が明ける(仏)

  • SONG OF EARTH(ノルウェー)

  • 本日公休(台)

  • 2度目のはなればなれ(英)

  • ソウルの春(韓)

  • リトル・ダンサー デジタルリマスター版(英)

  • ジョイランド わたしの願い(パキスタン)

  • 徒花-ADABANA-(日)

  • a human position(ノルウェー)

  • ロマンチック金銭感覚(日)



助産師たちの夜が明ける


フランスの産科病棟のリアル
お産もカップルもどれひとつとして同じものがない
赤ちゃんを待ち望む人たちと複雑な思いの人

出産まで一度も受診していない…
移民…
お腹の中で死んでいる赤ちゃん…

ワタシはどうしても助産師や医師側を注目してしまう

かなりの訓練を受けて現場に配属されるらしく
新人と言えどもめざましい活躍をするし
出だしがスムーズでなかったルイーズが慣れるの、早くてびっくりした

予想もつかない展開に生きた心地がしないソフィアに
ワタシも膝から崩れ落ちそうやった
いくら優秀でも、どんなに経験があっても
思わぬ事態が起こって悲しい結果になることもある

ズバズバ、バシバシ きつい言葉を投げ合うスタッフ
でも、そこに信頼や愛はある

問題についてのカンファレンス、スタッフが話し合うシーン
機材のトラブルがあったにせよ余裕がない事、マンパワーが少ないを
主張するスタッフがいるが「言ったところで、どうにもならない」空気

これ大事な伏線で
最後、助産師たちの背中に文字があり
みんなそれぞれ違うの(詳しくは字幕にも出ない)

日本の映画だと(ワタシが思うに、やけど)
スタッフ全員でこうしましょう、ああしましょうみたいな
前向きに希望溢れる…トラブルを起こさない努力にはなっても
本質的な解決にはつながらない展開になるやろうね

この映画は… さっすがフランス!

例によってミニシアターで観た
普段はシネコンに行く感じの若いお嬢さん3人組がロビーにいて
彼女たちがワタシと同じシアターに入ってきたのでびっくり

どうやら助産師?産科病棟ナース?らしく
夜勤明けで「寝てしまいそー」とひとりが言ってるの聞こえた
終わって「あー、しんどー…」とボソリ←わかるわーーー
(内容が重いって事、現役で働いている人はしんどなったと思ふ)

お客は全員女性でした(初めての経験!)
(みんな産科関係者でしょーね)

助産師たちの夜が明ける 公式サイト




SONG OF EARTH


ノルウェーにも四季があるんや…
氷河、雪景色、森の国のイメージやったけど

眠くなるかなーと思いつつ観たドキュメンタリー
そやった 
「PARFECT DAYS」のヴィム・ベンダース監督が関わってはるのやった

自然描写が中心やけど
監督のお父様とお母様の様子やお父様の耳や皮膚、腕
体のパーツがスクリーンいっぱいに時々映し出され

なんでやろなー、年月や時間を表したいのかな
なんてぼんやり思いながら観てたけど

84歳やて自分で言うてはったけど
ウォーキングストックを持って歩く歩く歩く
危なっかしい岩場や山をどんどん歩かはる

厳しい自然のあの場所で、子どもの頃から歩いてきてはるのやろうから
そういう体になってはるのやろな
自然から教わることばかりや、との言葉も

”音”も印象的で葉っぱから解けて?滴になって落ちる
あの瞬間をとらえた映像と音が
すごいなーと今も思い返せるのやけど

BBCが加わっているエンドロールを見て、納得
今の映像技術はすごいけど
それなりのスタッフも必要よね

真冬、凍りついた湖の上を歩くお父様
鏡のように逆さに後ろ姿が映る
あんなとこ、歩いてみたいなー・・・

ワタシの横、一つ置いて隣に白人女性が
映画の言語はノルウェー語?のようやし字幕は日本語やけど
理解できはったんやろか(ま、映像だけでも十分ですが)

SONG OF EARTH 公式サイト




本日公休


時間の流れにハッとしたりガックリきたりする
彼女もきっとそうなんや
大きくなった子どもたち…皆、それぞれに厄介が…

後半に同年代の女友達と遊びに行くシーンで
「やっと自由になれた」と女たちが言う
少女のようにはしゃぎ飛び跳ね自由を謳歌する

選んだ道が幸せもあったけど苦労も多かった
きっとヒトの記憶には苦労の方がクローズアップされるねん

チュアン…キムタクに似てるやん
なんでもうちょっとヘアスタイル、なんとかできひんの
彼だけが家族として彼女に優しいねん…3人も子どもがいるのに

母世代とのギャップ、感じひんワケはなく
でも、母世代の人たちもそのままに地域に暮らしてる
長年やってきたからこそ…なシーンに心温まる

損得なしに顧客にサービスする
その点がチュアンも彼女も同じ…やがては長く続く信頼になる

悪人は誰もいいひん
そやのに、なぜかうまくいかへん人生
母の愛、どこかで誰かがそっと思うコト、見落としていた愛

ワタシは年齢的には母世代に区分されるんやろ
そやけど母にならんかったし、子ども達の気持ちがわかる
けど母の気持ちもわかる…わかるからこそ、言わへん

出会いと別れ、思わぬ再会、仕方なくやってくる別れ
…後悔が無いように生きるって
そんな簡単ちゃうねんな

本日公休 公式サイト




2度目のはなればなれ


なんてチャーミングな夫婦なんやろ
2人の長い歴史には戦争があったんやなー

「Dディ」「ノルマンディー」「記念式典」などと
ワタシには聞き慣れないワードが出てくる
(ノルマンディーはチラリと聞いた覚えがあったけ)

バーナードがパブでドイツの人たちと話すシーン
なんとも微妙な雰囲気で(戦争中は敵やったのね)
お互いに亡くなった人たちを慰霊に来た、のは確か

仲間や愛する人を殺したかもしれない相手に
バーナードが取った態度は
戦争を客観視し何より人道的で最高にジェントルマンやった

5千人が眠るお墓に行った時のバーナードの言葉が
すべてを語っている
戦争での死は”無駄死に”やと…

バーナードがレネに話せない事を抱え苦しんできたのを
レネは何となく察して踏み込まずにいた
その距離感やふたりそれぞれの気持ちが、なんかわかる

罪悪感や後悔が変化する時が来る(こともある)
来ないとしても、それはそれ
荷物は下ろして良いのよね

マイケル・ケインが俳優を引退されるとか
グレンダ・ジャクソンはこの映画を撮った後、亡くなられたとか
おふたりとも、最高にチャーミングでしたよ

2度目のはなればなれ 公式サイト←俳優さんやスタッフの紹介なし…残念

*Ka-houの”星がつながる”

いつも聴いてるラジオに字幕界の大御所 戸田奈津子さんが!
この映画もそー言えば戸田さんが字幕を担当されている

戸田さんも88歳!?
それでも字幕翻訳家を続けておられる
ただ映画が好きだから、ですって
なんて素晴らしいのやろか





ソウルの春


えげつな過ぎて、ひとことも出えへん
こんな軍事独裁政権を経て韓国の人々は民主化を求め
今や、こんな映画を世界に放つ

政治の中枢部に
ヤクザまがいの品のない人物がのし上がった時…
日本のワタシら、よぅ見とかなあかんのんちゃう

首相が変わって(割とまともそうやったけど)
これまでの発言ところころ全然ちゃう事言うてはります
かつて防衛大臣として危ない発言をしてきた記憶…

1979年、韓国で何があったのか
軍事独裁政権がなぜ怖いのか
韓国映画をいろいろ観てると、めっちゃわかるし

日本かて2.26事件…あれ軍部が暴走して行ったのよね
その後の戦争続きの日本の歴史…

帰り道、3連休の秋の日を楽しむ人たちを見ながら
平和である尊さを感じた夕暮れ
この映画を観たいろんな恐ろしさ…

異なる意見の人は暴力で圧する
ー同じ人間がこんな事をやってしまう
隣人や仲間をこんな風に分断して敵として暴力的に抑える

こうなってしまったら、もう遅いのや・・・

「私の頭の中の消しゴム」のチョン・ウソン
自らが人質になった設定の映画で知ったファン・ジョンミン
それぞれの俳優の強みを思いっきり活かしていて
かつ、韓国の負の歴史をここまでエンターティメントにして見せる

もうね、凄過ぎて言葉無くすし・・・
人ごとや、過去のことや、他所の国の事やと
うかうか観てる場合か?と・・・

ソウルの春 公式サイト




リトル・ダンサー デジタルリマスター版


ぼろ泣き…

少年やけど、もう思春期の感じやし
体も筋肉がつきかけて
爆発しそうな感情を抱えていて

思わず動く体は激しいダンス
「頭が空っぽになる」「電気が走るみたいな」
あの言葉が合格の決め手なのかも

家族みんなが妻・母の死を受け入れられなくて
悲しい・寂しい感情を
どこへどう持って行ったら良いかわからへん

男性性バリバリのおとーさんと兄ちゃん
炭鉱労働者の家族
おとーさんのスト破りに加わる痛恨の叫び(泣き1回目)
←イギリスの階級意識の強さよ…

頑固一徹みたいなおとーさんが
いざとなったら自分を曲げてまで息子を応援する姿
泣けなかったのに堪え切れず泣くおとーさん(男はつらいよ)

家の中では”男性はこうであらねばならない”…
外へ出ればバレエを教えてくれる先生
女装する友達がいて…ビリーが世界を広げてゆく経験が痛快

なんで男がバレエ、あかんねん!と声が聞こえそうな
力強いダンス
すでに自分を表現する事ができてるやん、ビリー

25歳になったビリーの鍛え上げられた美しい身体
力強い美しさを感じる白鳥の湖

ビリー役のジェイミー・ベルは
最近観た「SKIN」「異人たちとの夏」
両方とも、え?どの人?どの役?と確かめた

今もビリーの面影が残ってる・・・
「リトル・ダンサー」は23年前の映画…
ワタシ、多分3回目の鑑賞

リトル・ダンサー デジタルリマスター版 公式サイト




ジョイランド わたしの願い



Google マップさんより パキスタン ラホールが舞台 


そうそう インドと中東の雰囲気がめっちゃ漂ってた

冒頭、なんで彼は父や兄、義姉から
あんな偉そうに顎で使われるんやろう?と驚く
彼と妻のベッドに、なぜか兄の子どもがひとり必ず入る

妻はちゃんと自らの意思を持ち「こうしたい」と言う
それがなぜか夫の父に許してもらえない
家父長制というのは世界に蔓延っているの?

これが普通 これが常識 異端は許さない
もう、うんざりや
それぞれがワタシが、自由に生きる事に他人や世間が口を出すな

男と女だけが恋をするーという認識を、もっと大きく捉えよう
「人と人が恋をする」のや

彼と妻の結婚もどうやら家と家のやり取りで
本人たちの意思は二の次三の次やったみたい…
窮屈な中でも自分らしく生きたいと、もがいてる

妻がトイレのタンクに隠していたもの
…戦慄した
そんな覚悟で結婚しはったんか

結婚ってより幸せに生きるためにするもん、ちゃうん?

ジョイランド わたしの願い 公式サイト




徒花-ADABANA-


うーむ…クローンか
近未来なのかな?何やら恐ろしげなシステム
説明的なものは冒頭の数行の字幕のみ

自分のクローンがいるって、どんな気持ちやろ
自分に似た人が世界に3人いるって言うけど
いるってわかったら見てみたいし話してみたいわー

臨床心理士がなんで動揺しはったのか
クローンは病人の代わりに病気を引き受けるの?
なんかそのあたりがわからないと「は?」となるんやけど

感じたままで良い映画ではなく
理解をしないと登場人物の言動が心に入ってこうへん

クローンやから倫理的なテーマやと思うねんけど
イマイチ何を言わんとしてるのか?

終わって席を立つと並びに座ってらした女性が
「わかりました?」と
「いやーーー💦」

公式サイトを見てると絶賛されてるし
井浦新さんの並々ならない意気込みとチャレンジがあったようやけど
うーむ・・・

ちなみにワタシはこの甲斐さやか監督の1作目「赤い雪」を観た
その時もえらい評判が高かった…けど
イマイチと言うか”世界に入れない感”…そう、ソレ

この世界観に入れませんでした。

徒花-ADABANA- 公式サイト





a human position


正直、ちょっと眠くなった
街並み、屋上から見える景色、家の中の部屋
セリフは少なく、音楽はほとんど自然の音のみ

街や景色の描写がカット毎に長く、時間がゆっくり進む感を出してる?

何やらスッキリしない主人公
何かあったようなのやけど説明一切なし
あれは何をしてるの?というシーンが引っかかっていて
その謎は最後の方に解ける

メンタルの調子が悪いと
妙に疎外感を持ってしまったり食欲もなくなるのは
世界共通なのかなぁ

「難民申請者が強制送還」の記事
あれに反応したのは恋人が〇〇ってのもあったやろうし
それらしき会話をふたりがしてるよ

若い女性の恋人の愛による再生物語…ではなく
ちゃんと社会とつながり、そのちょっと距離があるようで関係している事が
彼女のスイッチを入れる

プライベートでは言葉少ない彼女が
仕事では滑らかに話し、ズレてるカメラマンに指示したり注意するし
フットワーク良く出かけ取材してる

以前「あの時期、仕事があって良かった」と語る
女性の記事を読んだ事がある
仕事で気が紛れた、と どっぷり困難と向き合っていたら保たなかったと

彼女もそうやったの
仕事があって自分とペースが似てる恋人との日常があって
時間が流れ”時間薬”が効くのよね

最後の泣きそうで涙が溢れないあの表情・・・

a human position 公式サイト




ロマンチック金銭感覚


”ロマンチック”と”金銭感覚”って
なんかえらい違いがある言葉をくっつけてあるナ

どんな映画なのかザッと調べて
よく行く出町座で上映後トークイベントがあると知って
観てみよう!となった

お金持ちとそうでない人の二極化が世界でも日本でも
以前より明確になっていて
”貧困問題”なんて言葉をよく聞く世の中になってしもた

「売れなければ意味も価値もない」
ーワタシに言わせると資本主義ってこういう事かな

生まれた時からずっと”お金お金お金”の世の中
お金より大切なものがある…と言いつつ
お金がなければ愛はダメになる…みたい

そこそこお金がなければ、学びたくとも大学にも行けへん
しかもここ30年、物価は上昇してるのにお給料は上がってへん
みんなの懐はさみしく、不景気が続く

そーんな時代に「これで良いワケあらへんやん」と
少し前の時代みたいに「食べるものは自分達でつくる」
「みんなで働きみんなで分ける」…みたいな小さなコミュニティが
実は日本中にたくさんあるんやな

”循環”とはどういう事なのか?
わかち合うとは?
お金がモノを言う社会ではないって、じゃ、どういうの?

みたいな例がいくつも出てくる
(実は京都市内でワタシも以前時々行って参加した場所が
今もイキイキ地域の人たちの拠点となっていた)

同じ考えに共鳴した人達のゆるやかなコミュニティで
そこだけに循環する地域通貨
ちょっとお手伝いをしたらもらえて、必要なものやサービスを
それで買う事ができる

・・・なんて言うのか
あぁ、やっぱり人類すげーわ
こんな世の中で”持たない”人同士が生きて行ける仕組み
矛盾はあれど、実践してるとこ あるねんや

めっちゃエリートやった人が
自分や会社の利益より、みんなが幸せに生きる社会を模索してる
なんか、それがさ、ワタシ嬉しい

誰もが与えられるし得られる…
そう感じられるような世の中であって欲しいよなぁ

ロマンチック金銭感覚 公式サイト
(監督と役者除いた他の出演者の経歴をぜひ読んでおくれ)




タイトルに挙げたかった映画は
実はもう2本あって
「a human position」と「ロマンチック金銭感覚」

どちらも「どう在るのか」が大きく関係してる
長い人生、ずっと頑張れへんし紆余曲折は当然在る
でも、その中で「自分は何を大切にするのか」を持ってるか持ってへんか
・・・これはかなり大事な事や

大切と考えるものが変わっても良いし
前はなかったけど今はこれ、も素晴らしい
生きてるウチに、そういう事が段々決まってくるんやと思うな

間違えても良い、やり直したら良い
…ただ社会の空気が「間違いを許さない」なのが
多くの人が「失敗したくない」で動いてるのが、ワタシ的に残念

何をしても良いし、どう在っても良いのやけど
日々、いろんな経験をしながら
大いなる存在に、それ問われてると思わへん?






























































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Kahou
自分がええなぁ、おもしろいなと思うもので人とつながり、楽しく働けたらなぁ。